ほとぼり。 (ページ33)

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きっかけは些細なことだった

彼と付き合ってニ月くらい経ったときに席替えが行われることになって、そのとき彼が言った言葉が全ての始まりだった

SC「ええ〜席替えかあ」

「よし、ようやくスンチョルの呪縛から逃れられる」

SC「Aお前覚えとけよ？

はーあ、彼女と席が離れて悲しんでる彼氏に慈悲もなしですか」

騒がしかった教室が途端に静まり返った

あ、と思った

彼は特に気にした様子もなくぶつぶつ言いながら席を動かすと

みんな何もなかったかのようにまたざわざわと騒ぎ出す

その中であの女の子達の話し声が

［ねえ今の聞いた？］

［あの二人やっぱ付き合ってんじゃん］

［はー？まじ萎えるんだけど、ふざけんな］

［隣の席だからって抜け駆けしてさ〜］

ヒソヒソ、ヒソヒソ

やけにうるさく私の耳に入ってきて

気まずくかなかったって言ったら嘘になるけど

最初は私も特に気にしなかった

ヒソヒソ話されるだけで実害はなかったし

彼と付き合いたての私は有頂天になってたから

でもきっと彼女達は私のその態度が気に食わなかった

JW「ねえAちゃん！

私前からAちゃんのこと気になっててさぁ

良かったら私と友達になってよ！」

そう言って私にニコニコしながら手を差し出す隣の席になった彼女は、あのグループのリーダー的存在

「………ジウちゃん」

SC「おおA良かったな

本当に祝・俺の呪縛からの卒業じゃん」

彼が側で見てる手前その手を握らないなんてことできなくて渋々握手する

JW「……………これからよろしくね？Aちゃん」

「………うん」

彼女の爪がギリギリと私の手に突き刺さって痛かった