ほとぼり。 (ページ32)

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「…………あ」

恥ずかしくてどうにかなりそうで涙がじわりと滲んだ

顔を背けたいのに彼はそれを許すまいと頰に手を添える

SC「……A」

私の肩に回していた腕を下げて腰辺りを支えながら甘い声で私の名前を呼んだ

心臓の音がうるさくて仕方がない。彼に聞こえてないだろうか

身体は熱いしなんかもうキャパオーバーすぎる

SC「……………好きだよ」

「………ぇ」

SC「初めて会ったときからAが好き

笑った顔も怒った顔も全部全部俺のものにしたくて仕方ないんだ

だから俺だけのAになって。俺と付き合って」

とうとう涙がポロポロと溢れる

だめ、なんか、もう本当に、幸せすぎておかしくなりそう

優しく見つめながら私の涙を拭うその仕草も愛おしい

ズブズブと彼の沼にハマっていってる

こんなに幸せでいいんだろうか

SC「返事、聞かせてよ」

ふわりと笑いながら言う彼は、きっと私が何て言うかなんてお見通しなんだろう

「なによ、分かってるくせに」

SC「うん

でもちゃんとAの口から聞きたいから」

「……私もスンチョルのことが好き

だから、私だけのスンチョルになって」

ふにゃ、と嬉しそうに笑って私を力強く抱き締めた

少し苦しいけどこれも彼からの愛だと思うと嬉しくて、もっと抱き締めて欲しいとまで思ってしまう

SC「目、瞑って」

優しく私の髪を撫でながらそう言う

言われた通りに目を瞑るとゴソゴソという音が聞こえたかと思えば首に何かがかけられる感覚がした

SC「……うんかわいい、似合ってる。目開けていいよ」

目を開けて首元を確認するとさっき私がお店で見ていたペアネックレスがあって驚く

買っちゃった、なんて言って眉を下げながらふにゃふにゃとした笑顔で言う彼に好きという気持ちが溢れてぎゅっと彼を抱き締めた

SC「俺にも付けて」

私にもう一つのネックレスを渡し、私が付けやすいように少し屈んでくれた彼の首にそれをつけた

キラキラと二人の首元で輝く小さな光

彼は私に心底愛おしいとでも言うような視線を向けると優しく唇にキスを落とした

ああ、幸せ

まるで夢みたい

　

　

そう、本当に ”幸せな夢” だった