ほとぼり。 (ページ30)

今日:54 hit、昨日:91 hit、合計:272,818 hit

30- ページ30

．

学校帰り、彼が観たい映画があると私を誘ったためそれに付き合う

途中男女の顔が近くなって二人が静かになるシーンがあったが、この間の私と彼みたいでつい重ねてドキドキしてしまった

映画館から出ると辺りは薄暗い

二人で帰っているとお店に並んでいる可愛いネックレスが目に入り思わず立ち止まる

SC「ん？どうした？」

「いや、あのネックレスかわいいなって」

ふーん、なんて興味なさげに返事をする

SC「入る？」

「う〜〜ん………うん、入る」

少し悩んでからお店に入ると、可愛らしい物からスタイリッシュな物まで取り揃えられていて見ているだけでワクワクした

さっき目についた可愛いネックレスの元へ向かう

小ぶりでシンプルな物だがキラキラと輝くそれに心を惹かれた

よく見るとどうやらそれはペアネックレスらしく隣に似たようなデザインの物が置いてある

SC「買わないの？」

「ペアネックレスらしくてさ、これ

あげる相手いないしどうしようかなって思って」

SC「……へえ、でもさ

俺がいるじゃん

俺Aとならペアネックレスしたい」

そう真顔で言いのける彼

そんなこと言われるなんて思ってなくてドキッとする

彼とお揃いのものを身につけるってことを考えると嬉しくなる自分がいることが少し恥ずかしくなった

「……いや、やめとくよ」

居た堪れなくなった私は彼に断りを入れてお手洗いに行く

本当にやめてほしいあんなことあっけらかんと言い放つの。おかげで心臓がバクバクだ

ペアネックレスって大体カップルがつけるものでしょ

なに、なによ。私、変

彼への想いが溢れ出て止まらない

どうしようもなく彼が好きだ

私を見つけて嬉しそうにするのも

私の話を柔らかい表情で聞くのも

私に歩幅を合わせてくれるのも

触れたいけど触れるのは恥ずかしい、なんてそんな気持ち初めてで戸惑う

本当はもう少しここにいたいけどあまり彼を待たせると良くないと思い、すぐにその場を出た