ほとぼり。 (ページ22)

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「……とりあえず何か注文しようよ」

彼のその目に昔から弱かった私は彼の視線から逃げるように言った

SC「…そうだね」

私がはぐらかしたことなんて本当は分かってるはずだろうに、私の心情を知ってか知らずか彼はわざとはぐらかされてくれて

自分がそうさせたくせに申し訳なくなった

素面で彼と話すことがどうもできそうにない私は彼に飲んでもいいか聞いてお酒を注文した

お酒の力に頼るなんてこと良くないのは分かってる

でも何かあったときに”酔ってたから”なんてお酒にせいにしたくて

全部、私が傷付かないための保険

私も駄目な大人になってしまった

SC「酒、よく飲むの？」

「…うん、まあ」

本当はあんまり飲まないの

だって飲むと貴方のことで泣いてしまうから

そんなことを言ったら彼は私を笑うだろうか

もういっそのこと笑って欲しかった

笑って、嘲笑って。

お前みたいな気持ち悪い女なんか2度と見たくないって罵って。

私がもう貴方を想って泣かなくなるように、諦めさせて

(そんなこと本当は望んでないくせに)

うるさい、うるさい