ほとぼり。 (ページ18)

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あの後ユナがお風呂から上がってきたが、余程疲れていたのかほぼ目を瞑った状態でベッドに入ったかと思えばすぐに寝息を立てていた

「……おやすみ」

起こさないよう小さく呟いてから部屋の電気を消してエントランスに向かう

事前に呼んでおいたタクシーに乗り込み行き先を伝えるとすぐに動き出した

しばらく揺られながらぼんやり街の夜景を眺めていたが、ふと視線を感じて前を見るとバックミラー越しに運転手と目が合った

［お客さん、何かあったのかい？］

「……え、ああいや、何もないですよ」

［でもなんだかすごく悩んでるような顔してたよ］

そんなに分かりやすかっただろうか

内容がどうであれ、これから彼と会うんだから表情管理しないと

［何があったのか分からないけど…

まだまだ若いんだから、いくらでも挽回できるからね］

「………」

［”後悔しない”なんてこと人間生きてたらできないさ

大切なのは”後悔することができる心”

それがあれば人はいくらでも成長していけるんだよ］

何かを懐かしむかのような表情をしながら穏やかにそう言った運転手

この人もまた何か思いを抱えているんだろう

後悔することができる心、か

「……ありがとうございます」

［いいんだよ、僕は未来を作る若者を応援してるからね］

なんだか心が少し軽くなった気がする

不思議な人だな