ほとぼり。 (ページ17)

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エントランスで受付を済ませ部屋に向かう

YN「あ、ここだね」

部屋に入ると中は広々としていてユナはテンションが上がったようだった

YN「うひゃ〜〜！ベッドおっきい！ふかふか！最高！」

「はしゃぎすぎだってユナ

もう今日も疲れたでしょ、さっさとお風呂入ってベッド入りな」

ベッドに勢いよくダイブして手足をばたつかせるユナに早く寝るよう催促する

YN「いやほんとにね、そうするよ〜」

のろのろと起き上がりお風呂に入りに行くユナを見届けて、この間に準備を済ませようと化粧直しをするために鏡と向かい合った

“……待ってる”

彼の声が脳内で繰り返される

そもそも私は揶揄われただけで、お店に行ったところで彼はいないんじゃないかとマイナスな方へ考えようとするが

彼がそんなことする人ではないのを自分が一番分かってるから考えるだけ自分を苦しめるだけだった

化粧ポーチから口紅を取り出し唇をなぞる

過去に彼が私に似合うだろうと言ってプレゼントしてくれたこの口紅がすごく嬉しくて気に入って

別れてからも私は思い出に縋るように、使い終わる度にまた同じ物を買っていた

「…もうないな」

出てこなくなった口紅をゴミ箱へ捨てるのは、これで4回目