十一話 ページ11
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午後9時50分。電話をして、今日はコーチには来てもらわないことになった。
リンクの上、中心でスピンをする。スピンは好きだ。一人だけ、私だけしかいない世界を感じることができる。
ガチャン、と扉が開く音がした。回転をとめ音がしたほうをふりかえる。
ゆづくん、と声を出しかけて、のどかヒュ、っと音を立てた。
「あ、あれ、まだ人いたんだ、すいませーん!忘れ物とりにきましたーー!」
そう言って学生っぽい男の子はリンクサイドに走って、何か拾い上げて、お邪魔してすいません、と声を出してすぐに帰って行った。
大丈夫、大丈夫。すぐに帰ったじゃないか。彼がスケート場にいたのなんて1分やそこら。彼は私に会いにきたわけじゃない。
頭ではそう考えたけれど、体の震えが止まらなくて、なんだか息が苦しい。呼吸ができない。
立っていることも苦しくなって、氷の上でうずくまった。
するとまた扉が開く音を聞いた。思わず肩が上がる。どうしよう、また知らない人だったら、もしも今度は'あのときの男'だったなら。
考えるとただでさえ速まっていた呼吸がさらに加速する。
「A!??どうしたの?!!」
そんな時に聞こえた焦りを含んだ声は、一番大好きな人のものだった。
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ゆうちょ(プロフ) - マイさん» マイさんありがとうございます。単なるわたしの妄想ですが、楽しんでくださるとわたしも嬉しいです。ありがとうございます!! (2018年3月1日 23時) (レス) id: edceaa7f0e (このIDを非表示/違反報告)
マイ - 続きがきになって仕方ないです!!大好きです!更新楽しみにしてます(^^) (2018年3月1日 11時) (レス) id: 1b207efc07 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうちょ(プロフ) - 莉樹さん» ご指摘ありがとうございます。訂正させていただきます。ありがとうございます! (2018年2月26日 21時) (レス) id: edceaa7f0e (このIDを非表示/違反報告)
莉樹(プロフ) - 結弦のお名前をひらがな表記の場合には、つに濁点の方だと思います!次の更新を楽しみにしています。 (2018年2月26日 21時) (レス) id: e903c9ed29 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうちょ(プロフ) - 美紀さん» コメントありがとうございます。拙い文章ではありますが、羽生選手の素晴らしさを精一杯文章にしていきます、頑張ります! (2018年2月26日 20時) (レス) id: edceaa7f0e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆうちょ | 作成日時:2018年2月26日 0時