壱ノ章ー4話 ページ5
『なんで……、っ』
あれはもう結婚前日だったか当日だったか分からない闇夜
『やめてください…お願いします…っお願い、します』
溢れてやまない涙に鼻水
目も鼻も痛くて喉が熱い
しかし目の前の刀から滴り落ちる血から目が離せない
『助けてください…、助けて…』
30歳くらいの細身の背の高い女
頭のてっぺんで結った髪が腰まで伸び揺れている
足元には夕方自分の家へと戻っていったはずの姉と両親が血だらけで転がっていた
「ぅ…」
『!!』
家の玄関を飛び出しのそばへ駆け寄る
『お姉ちゃん!!』
苦しそうに息をする姉
触れようとした瞬間
「があっあ!!」
まるで走馬灯のようにゆっくりと
姉の口が目の前に
「……あー。悪いね」
耳届く声
「たった今終わったとこだ」
すると小さくうめき声を上げていた姉の首がズルリと落ちる
『っ!!』
見開いた姉の目と視線が交わった
『あぁあ!いやだっ…!』
つかの間ボロボロと崩れ消えてゆく姉
『なんで…やだ…崩れちゃう…!!お姉ちゃん!!』
必死に拾い上げた
『いやだ、…いやだ…やだ、!!』
拾い上げても拾い上げても手のひらには何も残らず
ついにはボタボタと垂れ流す自分の汚い涙と泥だけ
『っ……ぅ…、…』
息を荒くしギリギリと奥歯を噛み締めた
『あ…ぁあぁああ!!!』
そして女に飛びかかる
『死ね!!!殺してやる!!!お前死ねよ!!!!』
足に噛みつき爪をたてた
「いててて、何すんだよ」
10歳の女の体重はおよそ30キロ
『!!』
女の細足が軽々と30キロを腰の位置まで持ち上げたのだ
「ーーこんのガキ!!」
そのまま地面に叩きつけた
『がっっ!!!』
固い地面が脳を揺らし肺が酸素を受け付けない
『……』
叩きつけられた拍子に呆気なく離れた口
血が唾液と混じって地に落ちた
「……あーあ、歯型くっきり…さいっあく」
女は足の傷を見ていた視線をぐったり地面に倒れている子供へと向ける
「………」
そして首根っこつかみ持ち上げた
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