これが恋ならば:1 ページ2
ちらり、ちらりと窓際の棚に置いてある年賀状に何度も視線を寄越しながら、端末の液晶画面に映った友人一覧の一番上を見つめる。
「テヒョン、かぁ…」
ぽつりと零れた、虚しさとも懐かしさともとれない声色の呟きが、寂しく部屋に響いた。
自分の記憶の中で一番新しい、彼奴の笑顔。
それは、大人になってから一番純粋だと思えた真っ白なものだと思える。
まだ幼気だった頃、自分は真っ直ぐ生きるんだ、と決めたモットーは、大人になってから簡単に破ってしまった。
だから、捻くれてしまった今、純粋な彼は私にとって毒である。
捻くれ、の一部はこれ。
JN「…高校生なのに、毎日大変だよね。ほんと」
「いえいえ、お母さんのためなら苦ではないです」
店長のソクジンさんが、目尻を下げながら頭に手を置く。
高校生だったら時給が上がる、っていう張り紙に釣られて、高校生のフリをしたバイト。
保護者の代わりに仕事場の先輩が資料に書いてくれて、偽物の学生証も高校生の後輩と一緒に作った。
と、その時だった。
「もう上がっていいよ」といいかけた店長に被せて、ドアベルが鳴ったのは。
JN「あー、お客さん。じゃあ最後に一人だけお願いできる？
俺店閉めてくるね」
「…わかりました」
店長に言われてカウンターに出ると、注文表を出す。
だが、注文をとうとした手は、ピタリと止まった。
TH「………あっ、また会った」
そう声をかけてきたのは、雨か何かで少し濡れている、テヒョンだったから。
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作者名：運 | 作成日時：2019年1月13日 11時
