眠り姫、誘拐。【ONEPIECE】 (ページ41)

今日:57 hit、昨日:87 hit、合計:647,236 hit

．ページ41

「……ねぇ、チョッパーはさ、あの人達と一緒に…冒険に出たくないの？」

チョッパーが仲間に誘われている様子は見ていたから。そう問いかける。

「……無理だよ、だっておれ、化け物だから。……人間の…仲間になんて、なれっこない」

青っ鼻だし。と言いながら俯くチョッパー。私は黙ったまま、彼の頭を撫でることしか出来ない。
彼がこれまで、どれだけ傷付いて、どれだけ“仲間”という言葉に憧れているか。私は知っている。

きっとあの海賊団の人達ならば、チョッパーを暖かく受け入れてくれるだろうことも分かる。
…だって彼の医者としての腕は本当に確かなものだ。彼はきっと、役に立つ。

「それに、おれにはAがいるんだ！たった1人の友達だ、Aの事は俺が守るって、Dr.ヒルルクに誓ったんだ！」

「……チョッパー…」

ベッドからゆっくりと降りて、ぎゅ、と彼を抱きしめる。本当に本当に、チョッパーはいい子なんだ。私にとってもたった1人の友達。

大好きで大切な彼が、本当は世界を見たいことも、海賊に憧れていることも。心から仲間だと言える関係に憧れていることも、知っているから。私がその足枷になっちゃいけない。

「置いていかないで」なんて、言えない。