眠り姫、誘拐。【ONEPIECE】 (ページ5)

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Episode 02 ページ5

小屋へと帰る道すがら、私の足取りは珍しくとても軽くて。

少し走るように雪道をかけていた。

…船に限らず色々な物の記録を見てきたけれど、あんなふうに涙が出てしまう程、その“物体”の感情が見えたのは初めての事だった。

早く帰って沢山絵を描きたい、いや、でも。

……新しい物語を描きたい。次は海賊が題材の冒険譚を書こう。うん。それがいい。
叶うならば、船内の物ももう少し触れて、もっと色々なことを知りたかったけれど。それはいつも通り、空想で補うしかない。

本当はもっと話を聞きたい。あの船の記憶では、乗組員達はとても乱暴をするような人達には見えなかったけれど……。

数ヶ月前にこの島に来た海賊のことを思い出してしまって、ぞっとした。
辞めておこう。この世に“死よりも怖い事は実在する”。それを知っている私にとって、そんな勇気のあることは出来そうになかった。

そんなことを考えながらさくさくと山道を登っていると、

「……………………え……？？」

目の前に、全くもって可笑しすぎる光景が広がっていた。なにこれ、？？

流石に自分の目がおかしくなったのかと思って目を擦るけど、景色は変わらない。

そこには、真っ白な雪景色の中、海から流れてくる冷たい風が吹き付けるというこの場所で、1人。
半裸で筋トレをしている男。が、いる。