眠り姫、誘拐。【ONEPIECE】 (ページ21)

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「つーか、その“ゾロさん”ってのなんか気持ち悪ぃ、」

「……じゃあ、ゾロ？」

「おう」

どうやらさん付けにはあまり慣れないらしい。本人が言うならそれでいっか、と。ゾロと呼ばせてもらうことにした。

こうして誰かと並んで歩くのも、名前を呼びあって軽口を叩くのも随分久しぶりで、なんだかくすぐったくなる。

「ね、ゾロ、ありが……」

ありがとう、そう言いかけた瞬間、
どどどどど、という轟音が響き、同時に地面が揺れる。

「な、に……っ！」

「おい、なんだあれ、」

ゾロの目線を追った山の上。

「……うそ、あれ……」

「っ！雪崩だ」

そこからは、大量の雪が物凄いスピードで崩れ落ちてきていた。

あんなのが直接体に当たったら絶対に無事ではいられない。それに、あの規模なら絶対に呑まれてしまう。雪の中から出れずにお陀仏だ。

高い所にのぼらなきゃ、そう思ったのに、揺れた地面に体がふらついて、そのまま後ろへ転がり落ちそうになる。

刹那。

「Aっ！！！！！」

名前を呼ばれて、ゾロにぐい、と抱き寄せられる。そのまま、ゾロは自分の体で私を守るみたいに包み込まれて

私たちは、雪に呑まれた。