【ブルーロック】君に夢を託したい。2【千切豹馬】

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A side


自分の過去を、他人にこんなふうに話したのは初めての事だな、なんて。
話しながらそんなことに気付いた。


…乗り越えたつもりだった、諦められたつもりだった過去の夢について、今の今まで誰にも話せなかったことにすら気付いてなかった。本当に無意識に思い出す事を避ける。それが私の中で当たり前になってたのかな。

なのになんで私は、まだ出会って間もない千切豹馬(かれ)にこんな話をしているんだろう。


こんな話、きっと誰も聞きたくない。聞いても面白くない。辞めなきゃ、そう頭の片隅では思うのに、言葉が止まらない。
思い出すだけで泣き出してしまう程避けてきた話なのに、自分でも驚くくらい穏やかな口調で話せていることも不思議だった。

もう何が何だか分からない。話しながら泣き出しそうになるのを我慢して。もう今更だ。どうなっても、もうどう思われてもいい。

諦めたみたいに、全部、淡々と口からついてでる言葉を、千切さんは黙って聞いてくれていた。


一気に語った私の話を聞いた千切さんは、困惑したような、困った顔をする。

そりゃ、そうだよね。こんな暗い話をされたら誰だって困る。
だから話し終わって直ぐに、「こんな話してすみません」って、謝ろうとした。なのに

「悪い」
「俺は、知崎を……傷つけただろ、」


千切さんの口から最初に出たのは謝罪の言葉。次いで、理由を聞くと私を傷つけたから、と答えた。

なんで。

純粋な疑問が脳を埋める。
私の過去を知った人の大抵のリアクションは、困惑、迷惑、ーー同情。
腫れ物みたいに扱われることが殆どだった。
だから千切さんの表情に出た“困惑”も、私の過去に同情して、どう扱っていいか分からずに迷惑だと感じているんだろうな、と思ったのに。

それは全く検討違いで、彼は純粋に、自分の発言を思い出して、私を傷付けたんじゃないかと危惧して謝ってくれたのだ。

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