絶望の宿る瞳 ページ7
「まぁ、とにかく貴方達は1番のストライカーになることだけ考えればいいの。そうですよね、絵心さん。」
「その通り。Aちゃんの仕事云々はお前らが気にする必要は無い。今はな」
「それでーー。この監獄内順位最底辺の原石さん達。どう??初めて“勝利”を手にした感覚は。」
そう言うと、目の前にいた黒髪の地味な男子、潔くんは、はっとした表情になって後ろを振り返った。
「そうだ…、そうだよ、お前、なんで俺にパスしたんだよ…?」
話題が生徒達に戻ったところで、なるべく自分の気配を消して、静かに傍観を決め込む。
「理不尽…?…理不尽ですよ、それが勝負の世界ですから。」
絵心は語る。
「震えただろ…?『やった、俺は生き残った』って!!!
それが勝利だ。
よーーーーく脳に刻んどけ。」
(…見れば分かる、ね。成程。)
「おめでとう。“
文字通り人生を掛けたゲームを勝ち抜いた11人の顔をもう一度見渡す。
この部屋にいるほかの男子は皆、この勝利を純粋に喜んでいる。大なり小なり喜び方も様々で、ガッツポーズをする者、静かに心を滾らせている者、それぞれだけど、彼だけは違う。
先程自己紹介をしてからこちらをじっと見ている彼の表情だけは他の人と違っていた。
(千切 豹馬……。そうか、来てたんだ)
300人の経歴に目を通した時から彼の存在は確かに気になっていたけれど、やっぱり彼だけこの空間の中で浮いている気がする。夢に目を輝かせている人達の中では特に目立つ。だって、
(勝ち抜いたっていうのに。
ぜんぜん、嬉しくなさそうだもの)
目を見れば分かる、分かってしまうのは
私自信が彼と同じだからなのかもしれない。あれは、きっと、夢を諦めようとしている人の、目。
瞳の奥に宿った絶望の色に気付くことが出来たのは、多分同じ色を、私も宿しているから、なんだろう。
絶望を宿した赤い瞳と視線が絡み合う。それでも彼はここに来てくれた。この青い監獄に。
彼の場合そもそもここに来ないという選択肢も大いにあったはずだ。
それでもここに来てくれたのならば、
彼にもう一度、夢を追って欲しい。
そう思うのは、私のエゴなんだろう。
471人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
幸せうさぎ(プロフ) - サーマルさん» サーマルさん。コメントありがとうございます!!まだまだ千切くんの登場シーン少ないのでこれからどんどん増やしていきたいと思ってます!千切くんとの仲がどうなっていくか、是非これからも見ていただけるとうれしいです!!! (2022年12月21日 23時) (レス) id: b10acb6a2f (このIDを非表示/違反報告)
幸せうさぎ(プロフ) - みりかさん» みりかさん。嬉しいコメントありがとうございます!!なるべくサクサク続き書いていこうと思っているので是非これからも見ていた抱けると嬉しいです(՞ ܸ. .ܸ՞) (2022年12月21日 23時) (レス) id: b10acb6a2f (このIDを非表示/違反報告)
サーマル - コメント失礼します。最近ブルーロックにハマり色々な小説を探していた所、こちらの作品を見つけました。推しである千切くんとの描写が多くて嬉しいです。今後の展開も楽しみにしています。 (2022年12月21日 17時) (レス) id: f29b2f6f74 (このIDを非表示/違反報告)
みりか - とっても面白いです!!続き楽しみにしています!!✨️✨ (2022年12月17日 20時) (レス) id: 17b40665d7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:幸せうさぎ | 作成日時:2022年12月14日 0時