【ブルーロック】君に夢を託したい。【千切豹馬】

． ページ48

知崎が真剣に、スポーツ医として俺の怪我と向き合おうとしてくれている、その意思があると知っていたからこそ、俺の気持ちを軽々しく扱われたような気分になって、余計むしゃくしゃしたのだ。
それは俺が少なからず知崎に変な『期待』を寄せてしまっていた、ということになるけれど、それはこの際素直に認めよう。

クソ、わかってたまるか。俺の絶望が。

そう思って、ムカついて、気づいたら手が出てた。でも


『お願い……聞いて……』


数分前の知崎の言葉を思い出して、違和感を覚える。彼女は、何を言おうとしていたんだろう。

よく良く考えれば、昨日も今日も、話そうとする彼女の言葉を自分は遮ってばかりだ。結局何一つ、まともに最後まで聞いていない気がする。


さっきは潔と知崎の言葉にカッとなってしまって言い返したけど、
あんなに膨大な資料を作るような人間が、軽々しく「わかる」なんて言うだろうか。
彼女の言葉には、ちゃんと意味があったんじゃないだろうか、


だんだんとそんな風に思えてきて、自分が嫌になる。


「あぁっ！クソっ！」


いいんだ、もう、いいんだ本当に。
早くこの夢を終わりにして、諦めたいんだ。俺は。

過去の辛酸→←後悔

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す