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なんて言えば彼に届くのだろう、どうしたら伝わるのだろう。分からない。
それでも、彼の走る姿を、夢を追う自信に満ちたあの姿を、私はもう一度見たいと思ってしまったのだ。
「諦めないで、逃げないで!ちゃんと自分の体と向き合えば、千切さんにはまだ!」
「黙れよ、俺の絶望がお前なんかに分かってたまるか」
私は、彼みたいな選手を助ける為に、必死になって、死にもの狂いでスポーツ医学を勉強してきたのに。
「お願い……聞いて……。私が支える、貴方の足はまだ、走れ」
「いい加減にしてくれ!!!」
「っ!いっ、」
それまで静かに燃えていた千切さんが、初めて大きな声で怒鳴った。それと同時に掴まれていた手を離された私の体はぐらりとバランスを崩し地面に叩きつけられる。
痛さについ声が漏れた私のことを振り返ることすらなく、千切さんはそのまま出口に歩いていった。
「俺は夢を諦めるためにここに来た、つっただろ。それ以上も以下も無い。お前らには関係無い。放っておいてくれ」
ピタリ、と自動ドアが無慈悲に閉まる。
私の目からは、いつの間にか涙が零れ落ちていた。
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幸せうさぎ(プロフ) - サーマルさん» サーマルさん。コメントありがとうございます!!まだまだ千切くんの登場シーン少ないのでこれからどんどん増やしていきたいと思ってます!千切くんとの仲がどうなっていくか、是非これからも見ていただけるとうれしいです!!! (2022年12月21日 23時) (レス) id: b10acb6a2f (このIDを非表示/違反報告)
幸せうさぎ(プロフ) - みりかさん» みりかさん。嬉しいコメントありがとうございます!!なるべくサクサク続き書いていこうと思っているので是非これからも見ていた抱けると嬉しいです(՞ ܸ. .ܸ՞) (2022年12月21日 23時) (レス) id: b10acb6a2f (このIDを非表示/違反報告)
サーマル - コメント失礼します。最近ブルーロックにハマり色々な小説を探していた所、こちらの作品を見つけました。推しである千切くんとの描写が多くて嬉しいです。今後の展開も楽しみにしています。 (2022年12月21日 17時) (レス) id: f29b2f6f74 (このIDを非表示/違反報告)
みりか - とっても面白いです!!続き楽しみにしています!!✨️✨ (2022年12月17日 20時) (レス) id: 17b40665d7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:幸せうさぎ | 作成日時:2022年12月14日 0時