【ブルーロック】君に夢を託したい。【千切豹馬】

企み ページ30

翌日。彼に言われた言葉がずっとずっと頭の中をループして。結局昨日は一睡も出来なかった。


「自己満足、独りよがり、エゴ……」


その通りなのかな。


千切豹馬ーーー。チームZにいる選手。
初日、スポーツ医学について説明した時に目が合ったのも彼だ。

｢右膝前十字靭帯断裂...ね......｣

彼の事はここに来る前から気になっていた。勿論スポーツ医学を勉強する人間として、きになる、という意味だけれど。
彼の足は、もう一度同じ怪我をしたらスポーツ選手として再起不能になるのだろう。


でも彼の足はもう既に完治しているはず。走ろうとすればきっと、走れるのだ。
それでも彼は、全力を出して走る事を完全に拒絶している。
という事は、彼の足を縛り付けているのは


｢精神(メンタル)……かぁーー...｣


これが一番厄介なんだ。スポーツ医として、選手と向き合う中で最も難しく最も重要であるとも言える要素。


｢………恵まれてる奴、かぁ｣


彼に昨日言われた言葉を思い出す。彼から見れば、今の私は恵まれているのかもしれない。
確かにスポーツ医としての仕事が最近は楽しくなってきて、この青い監獄に来れた事も含めて、きっと私は恵まれている。

でも、流石に昨日言われた言葉は少し、流石に堪えたかもしれない。私にとっては、千切豹馬もすごく、羨ましくて羨ましくて仕方がないのだ。

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