【ブルーロック】君に夢を託したい。【千切豹馬】

スポーツ医の仕事 ページ23

そうして始まった1次選考。
各棟、初日は第3試合までが滞りなく行われた。

たった1日でかなりの試合数を観戦していることもあって、そろそろ慣れてきたころだ。基本的に2〜3試合を並行しながら見るのでかなりの集中力を使用する。
ブルーロック専用スーツから送られてくる情報があるおかげで何とか夜トレメニューの作成は追いついている、という感じだ。

｢明日は第4試合...チームZとチームＹか。｣

どちらももう既に黒星が着いてしまっているチームだ。この辺りの結果で1次選考の運命が大体別れて来てしまうだろう。
各チーム出場選手のデータを見ながら過去の試合をさらりと見返す。

映像を見返していても、やっぱり何故か気になってしまう存在。いつの間にか私はその人物を目で追っていた。


(やっぱり......君は走らないのね。)



『天才！！羅実の瞬足ストライカー！！千切豹馬！』

そう大きく見出しに謳われた新聞記事を画面に表示する。ネットで“千切豹馬”と検索するとすぐに出てくる記事だ。
彼はつい1年前まで、高校サッカー界では大きく注目される選手の1人だった。


検索結果に出てきた動画には、夢に目を輝かせてコートの中を風のように走り抜ける彼の姿が写っている。

今ではその見る影もない。



……私に出来ることは、これくらいなのかな

デスクの上に並べられた紙には膝前十字靭帯断裂の症例についてまとめられたデータ。
膝前十字靭帯ーーACLは、足に負荷のかかるスポーツではかなり多く損傷や外傷が見られる部位だ。

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