No.192 ページ42
震えてしまった
だめなんだ、今の私じゃ
総長の座どころか雪都組にいることすら許されない
結果を残せなかった
「私は、姉でありますが
双子です、二人で一つです」
「何が言いたい？」
『姉様……？』
「私はAと一緒にこの組を支えます
寧ろ、影武者になるのは私です！ずっと陰で生きていました
だから」
「だから二人で総長しますって？」
にっこりと笑う母が怖かった
この笑顔がずっとずっと、今でも苦手だ
Aの生きる意味を奪うことなんて出来ない
私たちは二人で一つ
「はい、私たちが、私たちであるために」
「へー……本当にそう思ってるの？」
「Aはどう思っている？」
「Aちゃんの意思も尊重してあげないと駄目よ？」
再びにっこりと笑う二人が怖い
ここでAが折れたら何もかもが終わる
『私は、妹として……総長に、なるべき、では
ない……と思っていました』
「そう、じゃあ」
『ですが！姉様が私を必要としてくださるのであれば
……共に、生きることを選びましょう』
Aはあくまでも私に従うという形をとるらしい
十分だ
それはAの意思として汲み取れる
『全て私の雪都組のために、愛姉様に従います』
「Aは、私に従うことを選びました
これで、Aは影武者ではなく二人で一つの総長になれますよね」
「そんなの認められるわけ」
「総長は如何思いますか」
突然、睦月っちが口を挟んできた
「我々は昨夜、話しあいました
もう既に雪都に忠誠を誓っているあの二人なら
何があっても大丈夫であろうという結論が出ました
ここは二人に任せてはどうでしょうか」
「……どう？パパ」
「それもいい経験だろうな
許可する」
あっさりと、彼の言葉だけで父は動いた
多分これ一筋縄じゃないかないと思ってたのに
「それに伴い、睦月から水無月の六人を
この二人から外す」
「へ？」
『何故ですか』
「元々は私の下で動いていたんだ
返してもらおうぞ」
六人は腰を上げ、父と母の近くへと移動した
残ったのは文月からの六人
この六人が今後私たちの下で動く
「大丈夫ですよ、お嬢
もう立派ですから、俺たちがいなくても平気です」
「泣くなよ」
それはつまり、別れを意味するものであった
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