No.163 ページ13
「洸汰の両親はね、ヒーローだった
……殉職したんだ」
ヒーローの殉職は、称えられるもの
でも、洸汰にとっては違う
小さな彼にとっての大きなものが失われたことは
この超人社会を恨む原因になった
「洸汰にとっては、ヒーローは理解できない
気持ち悪い存在なんだって……私たちのことも
多分貴方達ヒーロー科も」
「極道、微妙？」
「極道の存在すら知らないと思う
でも文月さんには懐いちゃってるみたいだから
長月さんも仲良くしてあげてください」
このヒーロー科の人と仲良くなれるかは分からない
でも、知ってほしい
ヒーローのことを
「そうだったんですか」
「ごめんね、こんな話して」
「いえ、むしろ……ありがとうございます
何でそんなにヒーローのことを嫌っているか分からなくて
心配していたんです」
「優しいね」
バッターンという音が聞こえて、長月さんが走って行った
誰かが倒れたのか、何かが倒れたのか、喧嘩でもしているのか不安だけど
その後落ち着いた
「姐さん、寝させてくる」
「A起きてー！」
麗日さんがお風呂上りの雪都さんを頑張って連れてきたみたい
夜には弱いみたいね、彼女
……まだ十時過ぎたくらいなんだけど
「姐さん、頑張った」
「ほんとだ、十時まで起きれたんだね」
「あっこれでも起きてた方？」
緑谷君は雪都さんの幼馴染なんだって
だからああやって気にかけることが出来るんだなぁって
……洸汰にもそういう子がいたら安心できるのかな
わからないけどさ
「おやすみなさい、マンダレイ」
「おやすみ」
心のよりどころってのは大事だと思うんだ
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