No.162 ページ12
温泉、広いし温ったけぇ
俺はもう少し高い温度の方が好きなんだが
ぼーっと辺りを見ていると
峰田が高い仕切り壁を眺めているのに気付いた
何してるんだ、アイツ？
「まぁー……飯とかはね、ぶっちゃけどうでもいいんすよ
求められてんのはそこじゃないんスよ
その辺わかっているんスよオイラ
求められているのは、この壁の向こうなんすよ｣
「一人で何言ってるの、峰田君？」
だが、隣の女湯から聞こえてくる明るい声は
嫌でも耳に入ってきた
あまり聞きたいとは思わないが
『……何？』
「いえ、その……背中の傷が、気になって」
「逆にそれ以外の傷がなくて安心してるよ！？」
「え、すごーい！これ筋肉？女子とは思えないよー
かっこいいね！」
「大きい……」
「Aってマスク外すとさらに可愛いよねー
何で付けてるの？」
『ノド大事だから、って、あんまり触らないでよ
恥ずかしいから』
しばらく男湯に沈黙が訪れた
Aの身体は、まぁ気になる
傷つけさせてしまったし
「こうやって男女の入浴時間をズラさないなんて
これは事故なんだよ！壁とは超えるためにあるんだ
Plus ultra！｣
「校訓を穢けがすんじゃないよ！」
峰田は個性の頭の何か、もぎもぎするやつで壁を登っていた
壁を凍らせれば落ちるかと思ったが心配なさそうだ
あの子供……洸汰、って言ったか？そいつが出てきた
「ヒーロー以前にヒトのあれこれから学び直せ」
あと一歩の所だった峰田を押し返した
そして落下する峰田
「やっぱり峰田ちゃん最低ね」
「ありがとう洸太君！」
そこから追加で鼻血を出して落ちてきた
……何見たんだ
「姐さん、うるさい
洸汰坊ちゃん、預かる」
「お願いします！」
静かそうなヤツが男湯に来て
子供を預かって行った
緑谷は結局あのまま付いて行ったが
寒くねぇのか、冷えるぞ
「くっ……せめて、姫の、裸が……みたか、った」
「もぐぞ」
「やめてくれ爆豪」
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