5 特殊 ページ6
A side
ヘルメット越しからもわかるようなニヤニヤとした顔を見て、匠くんは私の腕ではなくおしりと膝裏に手をかけたと思うと、持ち上げた。
「へ、えぇ?!匠くん?!」
「アオセンのせいで犯人に文句言われたんすよ俺」
「いや、元はと言えばお前があいつの車にイタズラしたからだからな?」
「いや俺は知らないっすねそれは」
急にお姫様抱っこなるものをされたので頭がついていけず私抜きで会話が行われていた。
私重くないかな、どうしよう最近食べすぎちゃってるよ…
「A、あの先輩は放っておいて早く飯食べに行くか?」
「匠くん、それよりもおろしてほしいな…」
匠くんの顔が近くにあって少し恥ずかしくて目を逸らしてしまう。
でもそんな私を面白がるように片手で軽々私を持ち直して、頭を撫でてくる。
「よし、ちゃっちゃと行くかぁ!」
匠くんは車に乗って、青井さんを少し小突いていくと、青井さんはすぐに立ち上がりつぼ浦このやろう〜!!と叫んでいた。
「遅れてすまん、事件に巻き込まれてな」
「ううん、匠くんが怪我してなくてよかった!」
「Aが悲しむから怪我してられねぇなあ」
そう言いながら私の頭を撫でる匠くんに少しドキッとしたような気がした。
いつものように公園でお弁当を食べてだらだら話すこの時間がたまらなく好きなんだ私
夜、匠くんが色々事件に巻き込まれて青井さんから病院にいるから迎えに来てやってという連絡が匠くんのスマホからあった。
急いで向かうと、病院前には人だかりができていてたくさんの警察がいた。
その中で見知った顔をすぐに見つけて駆け寄った。
「匠くんっ!!」
「はっ?!Aなんでこんなとこにいんだよ?
どこか怪我でもしたのか?!」
的はずれな心配をいつもの様にしてくる匠くんに安心して、笑っていると、何笑ってやがる、と頭を少し叩かれた。
「あんまり大きな怪我じゃなくてよかったぁ…
青井さんから連絡来た時はびっくりしたよ…」
「アオセン?なんで連絡先知ってんだ?」
「違うよ、匠くんのスマホからかかってきたの」
私たちがそう話していると、周りにいる警察の方たちが騒いでいるのに気がついた。
「つぼつぼ!その女性は誰だ?」
「匠の彼女なのかお前!」
そう一斉に話し出すから私が答えられないでいると、 匠くんに手を握られ引っ張られた。
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作者名:のえた。 | 作成日時:2024年3月7日 2時