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A side



「ボイスですか?」



「そう!手助けだと思ってとってくれない?!」



今日は私が休みの日。
朝、匠くんに行ってらっしゃいをし、振り返ると机に財布があった。
外を見ると、もう行ってしまったのか匠くんの車はもうなくて、仕方がないと急いで用意をして歩きで警察署に向かうと、
カニくんこと、成瀬さんがいた。

成瀬さんはこちらに気づき、つぼ浦さんに用っすか〜?と、すぐ匠くんを呼んでくれた。
匠くんはヴァンダーマーさんにちょっかい掛けられているらしく(匠くん曰く)少しの間相手になりますよと、成瀬さんが言ってくれた。
すると、思いついたとでも言うようにボイス撮ってくれないですか?!と…

そして今に至る…



「私は成瀬さんが困っているのであればいいんですけど…



需要ありますかね…?



もし、私のが出て売上が下がったら…」



「それは大丈夫だよ、だってつぼ浦さんがいるもん」



「匠くんがなにかするんですか?」



「まあまあ、ちょっとまってて!



セリフコーディネーターたちと話してくる!」



成瀬さんはそう言うと少し離れたところに行き、わいわいと話し込んでいた。
少し時間がたちこちらに戻ってきた。



「じゃあ━━━━━━」



「わ、私がそれを言えばいいんですか…?」



「ぜっっったいいいから!!!



警察署の個室貸すからお願い!!!」



どうにでもなれ!と思い切って撮って、成瀬さんに渡すとすぐ聞いてくれたのか、めっちゃいい〜!!!とはしゃいでいた。
私的には少し恥ずかしかったけれど期待に添えたみたいでよかった。



「カニく〜ん、Aに何してるんだ〜?」



「あ、つぼ浦さんじゃないっすか!



今、Aさんのボイスを」



「わ〜!!!



成瀬さん!絶対言っちゃダメです!」



匠くんには絶対に聞かれたくない、と慌てて成瀬さんの言葉をさえぎった。
匠くんはどこか怪しむような顔をしていたけれど、詮索してくるようなことはしなかった。



「Aありがとうな財布、家まで送ってやる」



「大丈夫!今日はここなちゃんと遊ぶ約束してて迎えに来てくれるらしいから!」



私は今日、ここなちゃんと遊園地に行く日だった。
匠くんは、どうりでかわいい服を着てると思ったんだよ、気をつけるんだぞ、と頭を撫でてくれた。
成瀬さんはびっくりしたように匠くんを見ていたけれど…

しばらくすると、ここなちゃんが迎えに来てくれてここなちゃんの車に乗り込んだ。

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作品ジャンル:恋愛
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作者名:のえた。 | 作成日時:2024年3月7日 2時

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