13 特殊 ページ14
A side
いつの間にか寝ていたのか気づくと真っ白な天井で辺りを見渡すと同じように寝かされた匠くんが目に入った。
包帯などで丁寧に処置された匠くんと、周りのものを見てここは病院だとすぐ気づいた。
「よかった、匠くんが無事だ…っ」
匠くんの手を握って匠くんの顔を見て、改めて無事だと分かりまた涙が出てくる。
すると後ろのドアが開く音がして後ろを振り向くと、そこにはもじゃもじゃな頭をした男の人が立っていた。
「あぁ起きたのか、よかった
つぼ浦も命に別状は無いから少しの間安静にしているだけで大丈夫だよ」
ニコニコと笑いながらそう伝えてくれたもじゃもじゃさんは、服にネームプレートがありそこに、鳥野と書いてあったので恐らく鳥野さんだろう。
「ありがとうございました!」
「いやいや、これが俺の仕事だから」
「そうだよ!鳥野くんは腕がいいからね!」
鳥野さんの後ろからピンク色の髪色をした可愛らしい女の子が姿を見せ、私はももみ!よろしくお願いします!と元気に挨拶をしてくれた。
「んん…、ここ、どこだ…?」
「匠くん!!!!」
ぎんさんとももみちゃん(2人にそう呼んでって言われた)と話していると、匠くんの声が聞こえて慌てて振り返る。
「A言っただろ?俺は死なねぇってな」
「うん…っ、ほんとによかった…っ」
やっと涙がとまったのにまた出てきた涙を拭いながらベッドの脇にしゃがみこむと、
匠くんは私の顔を見て、いたずらっ子のような顔をしたかと思えば手を引っ張られ顎を掴まれた。
私の頭が理解した時には、匠くんと唇がくっついていた。
「A、俺は警察で危ないことにも手を出さなきゃいけねぇ
それでも俺がAを守るから俺と付き合ってくれ」
ベッドから起き上がった匠くんにそう言われ、私は返事をするよりも先に体が動いて抱きついてしまった。
うおっ、と言いながら抱きとめて頭を撫でてくれる匠くんを見上げると、少しだけ顔が赤くなっていて、
返事もしてくれねぇのか…?と、少し不安になっていた。
「私は、前まで匠くんへの気持ちが全然分からなくて、
でも、やっと気づいたの…っ
遅くなってごめんね匠くん、私も好きです。
私でよければお願いします」
「ばかか、俺はA以外女として見てねぇからな、安心しろ」
そう笑い、匠くんはまた口を近づけた。
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作者名:のえた。 | 作成日時:2024年3月7日 2時