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Aside
「匠くん!起きてー、朝だよー!」
私の毎朝の日課は、幼なじみである匠くんを起こすこと。
いつも元気で走り回ってる匠くんは、朝がとっても弱くて
学生時代、匠くんママに起こして欲しいと頼まれてそれからというものの、毎朝毎朝、匠くんを起こしていたら日課になっていた。
それはこの街、ロスサントスに来て同棲してからも変わらない。
「んん…、あともうちょっと…」
「もう!匠くん!体験初日から遅刻しちゃうよー!」
今日は、匠くんは警察体験、私はホットドッグ売りをする初日。
本当は私も警察体験をしたかったけれど、匠くんが絶対にダメだと言うのでその圧に負けて仕方なく、安全そうなホットドッグ売りを選んだ。
そこなら、基本的にレギオン横で売ってるし比較的警察署から近いからと匠くんからOKが出た。
「ねみぃ…」
そう言って眉間に皺を寄せながら起き上がる匠くんを見て、かっこいいなあと思った。
幼なじみの贔屓目を入れても、匠くんはほんとにかっこいいと思う…
あの、大暴れな性格を隠してたらだけど…
いつの間にか着替えていた匠くんが椅子に座る。
「おはよ、朝ご飯のいい匂いがするな」
「おはよう匠くん!体験初日だから、頑張っちゃった!」
いつもは昨日の余りとかを食べるけれど、今日は匠くんに頑張ってもらいたくて昨日のうちから仕込んでいた煮物に焼き鮭にお浸しと少し豪華な朝ご飯になってしまった。
「これ昨日作ってたやつか?うめぇな」
「よかった!お弁当にも煮物入ってるからね!
今日は頑張って来てね?私も頑張ってくるから!」
匠くんはいつも私が作るご飯を美味しいと言って食べてくれる。
今日は、頭を撫でてくれたからよほど美味しかったんだなと今回作ったレシピを忘れないように後でメモしようと決めた。
「じゃあ、そろそろ行くかぁ…」
洗い物をしてくれていた匠くんがそういうので時計を見ると、私もいい時間だったので、お弁当を2人分持って2人で家を出ることにした。
いつも通りのこの街で、今日から職に就いて新たな人生を送ることを楽しみ半分、少し不安があった。
そんな私に気づいたのか、運転をしてくれていた匠くんが私の手を握ってくれた。
これは昔からで、私が不安になると匠くんは決まって手を握ってくれる。
「ありがとう、匠くんっ!」
「あぁ、なんかあったらすぐ言えよ」
匠くんはとっても頼りになる顔でそう言って笑った。
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作者名:のえた。 | 作成日時:2024年3月7日 2時