五話 ページ6
＊
スッカラカンなライブハウス。
いや、三人居るが。
だが、スポットライトが狭くて寂しいハウスを照らしていた。
ステージ上では歌って踊る推し。
茶髪のボブが靡いて
黄色の目が私を見て笑って
ウインクもしてくれて
たくさんのファンサービスが間近で受けられて
こんなにも幸せなことがあるだろうか。
だが、友人は黄色のペンライトを軽く振るばかり。
それに、シャオロンも友人に目を向けない。
せっかく興味を持ってくれたのに
せっかく新しい子を連れてきたのに
どうして、と思うばかりだった。
「今日もありがとうな、A！
…と、お友達の人」
「今日も良かったよシャオロン！！
あ、この子ね、私の友達の…」
「ヒナです。ライブ良かったです」
彼女は私の言葉を遮ってシャオロンに挨拶をした。
私はそれを見て
これでファンが増える。
そう喜んだ。
けど、シャオロンもヒナも
あまり良い顔はしていなかった。
「…そーか。来てくれてありがとな」
何だか対応も冷たくて
空気も少し冷えたような気がする。
何だか、二人の顔は強ばっていた。
「A、悪いけど今日はチェキとか無いねん…
次、次はグッズも用意するから！」
「本当？じゃあ絶対に来なきゃ！
ね、ヒナ」
「…そうだね。アンタは来なくっちゃ」
彼女の声に、抑揚は無くなっていた。
冷たいとかそういうのじゃなくて
視線は完全に合う訳では無いし
何か思考するように地面を見つめていた。
それに対してシャオロンも言及はしなかった。
不思議に思うのは私だけだろうか。
とりあえず、彼女を連れて今日は帰ろう。
「またねシャオロン、大好きだよ！」
「……うん、俺も。
またな、大好きやで」
彼女の腕を引き、勢いよく手を振る。
そうすると、いつもみたいにシャオロンは
同じように手を振って笑ってくれる。
可愛い、だいすき。
彼が見えなくなるまで手を振ってから
階段をあがりライブハウスを出る。
友人は、まだ思考しているようだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 78人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
真下(プロフ) - キリス(某教祖様)さん» とても嬉しいです。主様の好みに合った作品が書けてとてもよかったです！励みになるコメントありがとうございました！ (1月27日 23時) (
レス) id: d1da9a95a6 (このIDを非表示/違反報告)
キリス(某教祖様)(プロフ) - 完結お疲れ様です！こういう物語好きなので本当にもう好きです！他作品も見させて頂きます! (1月27日 21時) (レス) @page21 id: 62b7efaae2 (このIDを非表示/違反報告)
真下(プロフ) - キリス(某教祖様)さん» ありがとうございます。この後の展開を楽しみにしてください！ (1月22日 17時) (レス) id: d1da9a95a6 (このIDを非表示/違反報告)
キリス(某教祖様)(プロフ) - 物騒な事にしか思えない…なにを思ってるんだ… (1月21日 19時) (レス) @page8 id: 62b7efaae2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：真下 | 作成日時：2024年1月18日 23時
