医療特化型：薄水色の話 ページ9
＊
地下廃棄場へ来たのは
現場での試運転を行っていた時だった。
ようやく現場でサポートができる。
そう思っていた矢先だったんだ。
俺が配属される先だった病院は
大きな総合病院だった。そこの内科だった。
「しんぺい神、先日402号室の患者が亡くなったんだ」
試運転初日、医者にそう言われた。
ご遺族の方は傷心されているんやろうな…
「まだ遺族には公表していない」
『はよ、言った方がいいんじゃないですか…？』
「まだだ。
もう少し、金を取らないと」
医者の言うことは理解出来た。
けど、意味がわからなかった。
『そんなことしたら
遺族の方は…』
「……しんぺい神
お前は愛慕機能が無いのか？」
「人間には従うモンやろ」
『…でも、嘘つくんは…』
「…はぁ……
優秀な個体だと聞いたはずなんだが」
医者は聞いたことないほど低い声を発した。
背筋が凍る感覚がした。
「開発者を呼べ」
その声を皮切りに
俺はスリープモードに移行した。
＊
気が付いた時には地下廃棄場に来ていた。
主の登録欄には誰も居なくて
地下廃棄場には同じような奴らが何体か居た。
けど、ニンゲンが居ないと
不安感が残る。
俺は何の役目も果たせずに棄てられた。
『俺も似たようなモンや』
『…トントン』
『せやから、いつかお役目もらえるまで
みんなで待っとんねん』
みんな、ニンゲンを待ち続けていた。
俺より少し前に来たゾムは
何日も探し回るようにウロウロしていた。
待っていれば、いつか来る。
そう信じて、待ち続けた。
100年近く待った。
出会った時は頭を打って怪我をしていたAちゃん。
初めて、ちゃんと治療を行った。
軽い治療だったけど
初めて患者さんと話が出来たような気がして
嬉しくて仕方がなかった。
もっと役に立ちたい。
もっと話がしたい。
けど、みんなを大事にするAちゃんは
誰かとだけっていうのはなかった。
独占欲。
これってそういうことなんやなって
初めて思った。
俺の場合、介護欲の方が近いか。
本当やったら
俺だけを。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 235人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
真下(プロフ) - おしちゃんさん» とても嬉しいコメント、ありがとうございます！続編もお楽しみにして下さい！！ (2月8日 19時) (
レス) id: d1da9a95a6 (このIDを非表示/違反報告)
おしちゃん(プロフ) - 真下さん» 遅くなりましたが完結おめでとうございました✨とてもとても好きな作品で更新されたらすぐ読んでた記憶があります笑続きも是非見たいですし他の作品も見させていただきます！ (2月8日 19時) (レス) @page41 id: 44c7a03b53 (このIDを非表示/違反報告)
真下(プロフ) - 九尾さん» 遅くなり申し訳ありません…コメントありがとうございます！こちらこそありがとうございました！ (2月3日 16時) (レス) id: d1da9a95a6 (このIDを非表示/違反報告)
九尾 - とっても面白かったしど好みの作品で1日で全部読んでしまいました！ありがとうございました！！ (1月31日 18時) (レス) @page40 id: ca525783bb (このIDを非表示/違反報告)
真下(プロフ) - らむね@プリ小説もやってるよ！さん» ありがとうございます！自分でも書いてて酷いかなと思っていましたので、もう是非お願いします(笑) (1月20日 11時) (レス) id: d1da9a95a6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：真下 | 作成日時：2023年12月30日 2時
