五十六話 ページ37
＊
──
9年ぶりだが、扉が変わり
頑丈になった姿が目に入る。
だが、それ以外は何も変わっていない。
草木が生い茂った雑木林
チュンチュンと歌うように鳴く雀達。
近くには住宅街。
実家が近くて、バレるか少し心配ではある。
エーミールが好きそうな本も持ってきた。
シャオロンにはCDや模造だがマイクを。
皆へのお土産のようなものが沢山詰まったカバン
それを肩に掛けて
白衣に入っている鍵を取り出し
扉の鍵穴へ挿し込む。
ガチャり、そう音が鳴ると
重たい扉をこちらへ引く。
少し土っぽくて
鉄とか、紙とか
色んな物の匂いが混じった空間。
どこか安心するこの匂い。
首元に着いた小さな機械にはまだ光が灯っている。
9年前と変わらないピンク色の光が。
中に入って、石製の階段を二段ほど降りる。
扉を閉めて、内側から鍵をかけた。
そして、銀色に光っていた鍵をそこら辺に投げる。
太陽の光がシャットアウトされた空間
白衣を脱いで、左腕に持つ。
下の服はラフな格好で
初めて会った時よりは雑な格好。
カバンを肩に掛け直して
一、二、三と階段を降りていく。
そこから少し歩くと、機械まみれの
初めて見た部屋が見えてくる。
そのまま奥に進む。
そうすると広々とした空間。
辺りには色んな廃棄物が積まれていて
けれどどこか整えられている。
誰かいないかな？
そう思いながらトントンの部屋を見に行ってみる。
部屋には誰も居ない。
でも、ちゃんと綺麗に掃除されている。
医務室は？
しんぺい神は居なかった。
でも、トントンの部屋と同様に綺麗にされていた。
図書館、コネシマの部屋…
色んな所を回ったけど、誰一人居ない。
どこに居るんだろう
そう思いながら、一度最初の部屋へ戻ろうとする。
すると、土が舞う音がした。
『……ぁ、え…』
「…ゾム」
緑色のパーカー
驚いているようで開いたままの口。
その後ろにはオレンジ色の和服が目立つ
何か手に機械を持ったロボロ。
そのロボロを押し退けてシャオロンが前に出る。
『…A……っ！！』
ゾムが声を詰まらせながら
名前を呼んで私に飛び付く。
ぎゅうと固く締められて
少し苦しいくらい。
『お、遅いで…9年とか……』
「頑張って早く来たんだよ」
『100年の方が短く感じたわ…』
大袈裟だと笑うと
皆も少し笑った。
「ごめんね遅くなって。
ただいま」
そう言って、私は小さく笑った。
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真下(プロフ) - おしちゃんさん» とても嬉しいコメント、ありがとうございます！続編もお楽しみにして下さい！！ (2月8日 19時) (
レス) id: d1da9a95a6 (このIDを非表示/違反報告)
おしちゃん(プロフ) - 真下さん» 遅くなりましたが完結おめでとうございました✨とてもとても好きな作品で更新されたらすぐ読んでた記憶があります笑続きも是非見たいですし他の作品も見させていただきます！ (2月8日 19時) (レス) @page41 id: 44c7a03b53 (このIDを非表示/違反報告)
真下(プロフ) - 九尾さん» 遅くなり申し訳ありません…コメントありがとうございます！こちらこそありがとうございました！ (2月3日 16時) (レス) id: d1da9a95a6 (このIDを非表示/違反報告)
九尾 - とっても面白かったしど好みの作品で1日で全部読んでしまいました！ありがとうございました！！ (1月31日 18時) (レス) @page40 id: ca525783bb (このIDを非表示/違反報告)
真下(プロフ) - らむね@プリ小説もやってるよ！さん» ありがとうございます！自分でも書いてて酷いかなと思っていましたので、もう是非お願いします(笑) (1月20日 11時) (レス) id: d1da9a95a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：真下 | 作成日時：2023年12月30日 2時
