五十話 ページ2
＊
──
まだ眠気が少し残る中
グルッペンに案内されたのは
ゾムと初めて会ったあの部屋だった。
そこには、薄ら太陽の光に照らされている
みんなの姿があった。
『A……』
シャオロンが名前を呟いた。
私を見て、中黄の瞳を細めた。
「みんな…」
『…全員、細かいことはさっき初めて聞いたわ。
そうか、早いな』
『もっと一緒におれるもんやと思っとったわ』
トントンの赤いマフラーが
軽く吹いている風に揺られている。
赤色が輝く瞳が、何だか悲しみに満ちているように見えた。
『トンちの言う通りやわ。
チーノが悪いなん言わんけど、こんな簡単に』
『こんな簡単に、なんて思ってなかったわ』
大先生が一歩前に出てきて
私の頭を一撫でした。
手にはずっと昔の紙煙草が握られていた。
『長くなるだろうが
アイツらの話を聞いてやってくれ』
グルッペンが隣に立って言った。
一瞬グルッペンの横顔を見たが
またすぐにみんなの顔を見た。
『…まだ、それ付けてくれとるみたいやな』
ロボロと目が合って
愛おしそうに私を見詰めた。
私に近付いてきて、襟元につけていたGPSに触れた。
『相思相愛でええんやんな
…戻っても、俺は見とるからね』
面布を外していたロボロは
袖口から面布を取り出して
いつものように取り付けた。
次に、兄さんが私の傍に来た。
『もうちょっと、Aのとこ居ればよかったな』
『別れる前にこれだけさせてくれ』
そう言って、兄さんは私の体を腕で包んだ。
紫のストールが目の前に広がって
頭上から
”スキや、ずっとな”
それだけ聞こえてきた。
『しんみりしたのとか、お別れとか
あんまり好きじゃないめぅ！』
『今は絶対、またねがいいよ』
オスマンが可愛らしく手を振って
ひとらんが珍しくマスクを外していて
二人で”またね”と手を振った。
私も同じように
軽く振り返した。
…またねでもバイバイでも
お別れっていうのは、嫌だな
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真下(プロフ) - おしちゃんさん» とても嬉しいコメント、ありがとうございます！続編もお楽しみにして下さい！！ (2月8日 19時) (
レス) id: d1da9a95a6 (このIDを非表示/違反報告)
おしちゃん(プロフ) - 真下さん» 遅くなりましたが完結おめでとうございました✨とてもとても好きな作品で更新されたらすぐ読んでた記憶があります笑続きも是非見たいですし他の作品も見させていただきます！ (2月8日 19時) (レス) @page41 id: 44c7a03b53 (このIDを非表示/違反報告)
真下(プロフ) - 九尾さん» 遅くなり申し訳ありません…コメントありがとうございます！こちらこそありがとうございました！ (2月3日 16時) (レス) id: d1da9a95a6 (このIDを非表示/違反報告)
九尾 - とっても面白かったしど好みの作品で1日で全部読んでしまいました！ありがとうございました！！ (1月31日 18時) (レス) @page40 id: ca525783bb (このIDを非表示/違反報告)
真下(プロフ) - らむね@プリ小説もやってるよ！さん» ありがとうございます！自分でも書いてて酷いかなと思っていましたので、もう是非お願いします(笑) (1月20日 11時) (レス) id: d1da9a95a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：真下 | 作成日時：2023年12月30日 2時
