二十八話 ページ29
＊
「…そっかぁ、6年生か」
「色々わかってくるよね、そりゃあ。
ぺいんとも嘆いてたし」
姉ちゃんは俺を見て苦笑した。
あの時の目の下の隈は、少しだけ薄くなっている。
「孝行、我慢させてごめんね。」
「食べ盛りなのに、
ちゃんとしたご飯を毎回作ってあげられなくてごめんね」
「…遊園地とか、行きたかったと思うけど
楽しい時期にそんな場所、連れて行ってあげられなかった」
そんなんじゃない。
謝って欲しいわけちゃう。
俺はもっと、自分の為に色々して欲しかっただけや。
時々食える手料理も好き。
姉ちゃんと家でゲームすんのも好き。
我慢、俺はしてへん。
してるのは姉ちゃんの方やんか。
大学の資料見てたの知っとる。
専門学校の資料も見てたの知っとる。
電話の時やって、あれからずっと泣いとった。
「誕プレ、渡せてなくてごめんね」
今はいらん、そんなもん。
自分のために使って欲しかった。
俺のためじゃなくて、A自身のために。
「…姉ちゃん」
「……ごめんね孝行」
「謝んなや
俺、怒ってへんし我慢もしてへん」
「謝らんとってや、もう。今更やけど、
俺、姉ちゃんにもう我慢して欲しくないだけやねん」
「全部じゃないけど、ほとんど知ってんねん
姉ちゃんがホンマは学校行きたかったのも」
「父さんに電話してたのも
クリスマス前にはバイト増やしてたのも」
「全部俺のためやったんやろ
めっっちゃ嬉しかったけど」
「俺ばっかってのは、ないやろ」
そう言うと、姉ちゃんは涙目で俺を見た。
でも、もう謝ろうとしていなかった。
「…ありがとう、孝行。
そっか、電話も聞いてたんだね」
「前、お父さんと電話したのは
大丈夫かっていう、心配の電話だったの」
「私がすぐ切っちゃったんだけどね
でも、その後メールが来たの」
『突然単身赴任が決まって、二人で行くことになった。
今まで連絡が出来なかったのは、仕事の関係上一切連絡が不可能な状況だったから。本当に申し訳ないことをした。』
『でもようやく会社の事業が安定してきたから
もう少ししたら戻れるかもしれない。元気でね』
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真下(プロフ) - 羽鶴さん» 遅くなり申し訳ありません…！とても嬉しいです。ありがとうございました。 (1月4日 18時) (
レス) id: d1da9a95a6 (このIDを非表示/違反報告)
羽鶴(プロフ) - 完結おめでとうございます!!なんとなく寂しい気もしてしまいますが…いつも更新されるたびウッキウキだったので嬉しいです！お姉ちゃんとシッマが幸せに暮らしていくのを願っています！更新期間お疲れ様でした! (12月27日 0時) (レス) @page32 id: fcd2bda98b (このIDを非表示/違反報告)
真下(プロフ) - 杏さん» 楽しんで頂きありがとうございました。コメントありがとうございました。 (12月26日 8時) (レス) id: d1da9a95a6 (このIDを非表示/違反報告)
杏(プロフ) - 完結おめでとうございます！！！ 作品当初からずっと追っていた身なので、クリスマス当日に綺麗に終わったのを見て構成の美しさに感激しました。 あとがきを含め最後まで楽しませて頂きました、素敵な作品をありがとうございます！ (12月25日 17時) (レス) id: efc02aac0e (このIDを非表示/違反報告)
真下(プロフ) - 羽鶴さん» そう言って頂けて嬉しいです。コメントありがとうございました。 (12月25日 14時) (レス) @page32 id: d1da9a95a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：真下 | 作成日時：2023年12月5日 23時
