二十四話 ページ25
＊
──
10月の後半。
運動会のことを、姉はまだ引きづっていた。
その日の夜も、学校から貰った写真を見ながら
行けなくてごめんねと謝っていた。
来年もあるからって、大丈夫だと言った。
時間はもう遅かったから
とりあえず寝ることにした。
夜中の一時半すぎぐらい。
喉がかわいて目が覚めた。
水でも飲みに行こうと部屋を出た時
隣の姉の部屋から、声がした。
「…今さら何なの！！
孝行にも我慢させてるのに…、心配の電話なんて！」
姉の怒鳴るような声だった。
初めて聞いた。
喉のかわきは吹っ飛んで
扉の傍で盗み聞きをした。
「お父さん、心配してくれるのは嬉しいんだけどさ…
突然居なくなって、連絡も寄越さないで！」
「お金だけ置いていって…学費も生活費も
ほとんど無いんだよ…精一杯なんだよ」
「孝行にだって、もうずっと誕生日プレゼント渡せてない！
ケーキだって、ご飯だって…育ち盛りなのに」
「……ごめんねじゃないよ…
私にじゃなくて、孝行に言ってよ……」
「私じゃ、外食にすら…連れて行けない…
孝行だって、色んな場所行きたいはずなのに…」
”お父さん”
姉ちゃんの口からどれだけ久しぶりに聞いた言葉だろう。
泣き叫ぶような怒鳴り声。
その姉の声に恐怖を覚えるわけでもなかったけど
恐らく父さんと電話している。
姉ちゃんが父さんに対して
あんなに怒鳴りつけているのを
見たことがない。
次第に怒鳴り声は収まって
すすり泣くような声だけが聞こえた。
「……夜、遅いし…寝る…
バイバイ、そっちでも元気しててね」
それを機に、姉の声は途絶えた。
喉がかわいていたことは忘れていた。
ただバレないように部屋に戻って
声だけがフラッシュバックする。
あの会話を聞いて
父さんが姉ちゃんに何を言っていたのかは知らないけど
ただ、姉ちゃんはしんどいんやな
そう思った。
だから、せめて俺だけは迷惑かけんようにしなあかん。
クリスマスの時に、またそう思った。
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真下(プロフ) - 羽鶴さん» 遅くなり申し訳ありません…！とても嬉しいです。ありがとうございました。 (1月4日 18時) (
レス) id: d1da9a95a6 (このIDを非表示/違反報告)
羽鶴(プロフ) - 完結おめでとうございます!!なんとなく寂しい気もしてしまいますが…いつも更新されるたびウッキウキだったので嬉しいです！お姉ちゃんとシッマが幸せに暮らしていくのを願っています！更新期間お疲れ様でした! (12月27日 0時) (レス) @page32 id: fcd2bda98b (このIDを非表示/違反報告)
真下(プロフ) - 杏さん» 楽しんで頂きありがとうございました。コメントありがとうございました。 (12月26日 8時) (レス) id: d1da9a95a6 (このIDを非表示/違反報告)
杏(プロフ) - 完結おめでとうございます！！！ 作品当初からずっと追っていた身なので、クリスマス当日に綺麗に終わったのを見て構成の美しさに感激しました。 あとがきを含め最後まで楽しませて頂きました、素敵な作品をありがとうございます！ (12月25日 17時) (レス) id: efc02aac0e (このIDを非表示/違反報告)
真下(プロフ) - 羽鶴さん» そう言って頂けて嬉しいです。コメントありがとうございました。 (12月25日 14時) (レス) @page32 id: d1da9a95a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：真下 | 作成日時：2023年12月5日 23時
