二十一話 ページ22
＊
──
10月になって、運動会があった。
でも、姉ちゃんは今年は来なかった。
授業参観が11月にあった。
3時間目に保護者が見に来ていたけど
姉ちゃんはたったの10分しか顔を出さなかった。
11月の後半になって
姉ちゃんは去年と一昨年と同じように
白紙とペンを俺に渡した。
「今年は何頼む？」
姉ちゃんは毎年
俺よりも楽しそうな顔で聞いてくる。
でも、俺は少し引っかかっていた。
＊
──
「俺クリスマスもらえへんかったぁ」
そう嘆いていたのは、ゾムだった。
「なんでなん？」
「いや、母さんに言うてもうてん
サンタさんって二人のことやろって」
「自業自得やわ」
シャオロンにそう突っ込まれていた。
俺は貰えた。シャオロンは直接聞かれるようになったらしい。
「シッマは何も言われてへんの？」
「いや俺親おらん」
「いやいや、Aさんやん」
「姉ちゃん？」
聞き返すと、シャオロンは
マジかコイツとでも言いたげに俺を見た。
なんやねんと聞いてみると
シャオロンはため息をついた。
「親ちゃうってことは、Aさんしかおらんやろ」
「はぁ？大先生は本物や言うてたぞ」
「…マジかアイツ」
「シャオロンは空気読まなさすぎちゃう？」
次はゾムがため息をついた。
シャオロンはゾムを横目で軽く睨んだ。
「でも姉ちゃん、バイトだけじゃ誕プレ
立派なもん買えへんって言ってたし、無理やろ」
「そこはAさんが秘密にしとるやつやって」
「じゃあ何でバラしてんシャオロン」
「そらゾム、おもろそうやからやろ」
「シャオカス」
秘密、秘密にしていること。
色々シャオロンに対して突っ込みたいことはあったが
普段から切り詰めて生活している姉が
毎年、普通に買えばかなり出費のある物を
俺のためだけに買うことがあるのだろうか。
そういえば、両親が出ていってから
姉ちゃんはプレゼントを頼まなかった。
そうなると、大体は説明づく。
今年欲しいなと思っていたシューズは
子供用とはいえ、高いものは高い。
「孝行？」
「…まだちゃんと決まってへんから
考えるわ！」
「そう？早めに決めて、手紙出そうね」
微笑む姉ちゃんの顔は
少しやつれていた。
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真下(プロフ) - 羽鶴さん» 遅くなり申し訳ありません…！とても嬉しいです。ありがとうございました。 (1月4日 18時) (
レス) id: d1da9a95a6 (このIDを非表示/違反報告)
羽鶴(プロフ) - 完結おめでとうございます!!なんとなく寂しい気もしてしまいますが…いつも更新されるたびウッキウキだったので嬉しいです！お姉ちゃんとシッマが幸せに暮らしていくのを願っています！更新期間お疲れ様でした! (12月27日 0時) (レス) @page32 id: fcd2bda98b (このIDを非表示/違反報告)
真下(プロフ) - 杏さん» 楽しんで頂きありがとうございました。コメントありがとうございました。 (12月26日 8時) (レス) id: d1da9a95a6 (このIDを非表示/違反報告)
杏(プロフ) - 完結おめでとうございます！！！ 作品当初からずっと追っていた身なので、クリスマス当日に綺麗に終わったのを見て構成の美しさに感激しました。 あとがきを含め最後まで楽しませて頂きました、素敵な作品をありがとうございます！ (12月25日 17時) (レス) id: efc02aac0e (このIDを非表示/違反報告)
真下(プロフ) - 羽鶴さん» そう言って頂けて嬉しいです。コメントありがとうございました。 (12月25日 14時) (レス) @page32 id: d1da9a95a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：真下 | 作成日時：2023年12月5日 23時
