【d!】異形愛慕 (ページ9)

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八話ページ9

＊

『着いたで！』

『ここな、一応図書館って呼んでんねん』

ゾムに着いてきた先は、”図書館”。

…とは思えないほど、小さな部屋のようなもの。

コンコンコンと、鉄製の扉をゾムが三回ノックした。

『エミさーん！！』

ゾムが大きな声で
恐らくアンドロイドであろう名前を叫ぶ。

すると、扉がゆっくりと音を立てて開いた。

『ゾムさん、声が大きいですよ…』

『……って、え、ひ…、ヒト？』

ゆっくりと開いた扉から出てきたのは

瞳が月白で、すらっとした体型のアンドロイドだった。

身にまとっている服はまさに紳士のようだった。

『どうして…？』

「私も、よく覚えていなくて」

『やから、帰る方法探し行こってしんぺい神が言っとった』

”俺は嫌やけど”

ゾムが少し拗ねたように言うと
月白のアンドロイドは私を見た。

『えっと…、指導特化型のアンドロイド
　個体名は”エーミール”です。お名前を伺っても？』

「A…です」

『Aさん…
　…Aさん、あなたを主として名前の登録をしてよろしいでしょうか？』

エーミールと名乗ったアンドロイドは
私にそう訊ねた。

私は別に嫌という訳でもなかったため
”いいですよ”と肯定した。

『主の名前の登録が完了しました。』

『Aさん、宜しくお願いしますね』

「…はい、宜しくお願いします」

『丁寧な方なんですね。
　是非タメ口で話してください』

「すみません…
　エーミールがつい敬語で、釣られたよ」

『…何だか、少し恥ずかしいですね』

エーミールは少し頬を手で隠した。

すると、ゾムが私の隣に来る。

『俺は最初っからタメ口やったで？』

『…そういう自慢はいいんですよゾムさん！！』

フフンと自慢げなゾムに対し
エーミールは少しむくれた様子で言う光景は

人間となんら変わりはなかった。