【d!】異形愛慕 (ページ8)

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七話ページ8

＊

地下廃棄場は、どこも機械に溢れていた。

頭痛が少し治まって
普通に歩くこともできるようになってから

ゾムと一緒に部屋を出た。

『自我を持ったアンドロイド…
　俺としんぺい神含めて、今んとこ13体おんねん』

「結構、多いんだ」

『今から行くんは、俺らより知識豊富なアンドロイドのとこやで。確かここ来る前は…、大学で教授かなんかやるって言ってたな』

ゾムと向かっているのは
”指導特化型”のアンドロイドの元。

指導特化型は、勉強や教師のサポート
もしくは、学びの場で教師をしていることが多い。

実際に指導を受けたことがあるが
私に合う勉強法を教えてくれたり、
出来ないところができるようになれば、
『凄いです』と褒めてくれた。

そのおかげか、国内の生徒の成績は右肩あがりだ。

そのアンドロイドへ向かうのは、
私がここから地上へ帰る方法だ。

これはしんぺい神の提案だった。

『AちゃんにはAちゃんの生活があるからな』

と。

ゾムは駄々を捏ねたが
見つかるまでは一緒だと伝えれば

少し機嫌を取り戻した。

「ゾムは、ここに来る前のこと覚えてないの？」

『いや、覚えてるで。
　俺、元々は自衛隊に配属される予定やってんな…』

『でも、自我が芽生えてからはすぐここ来たで。
　どうやって来たかは…、来る前にスリープさせられたから全く覚えてへん』

自衛隊…ということは
ゾムは”戦闘特化型”らしい。

今の時代、戦争は昔のように頻繁には起こらない。

だからゾムはどちらにしろ
戦場へ向かうことは恐らく無いのだが…

「…なんか、ゴメンね」

『え、な、なんでAが謝るん…？』

「ゾムたちはヒトがスキなのに
　私たちはそれに応えてるかどうかわからない」

『…確かに、棄てられたのは悲しかったけど…』

『大丈夫やで！』

ゾムは笑った。

私の顔を覗き込んで、まるで安心させるように。

『Aが来たからな。
　それに、Aは絶対優しいで』

「…そう？」

『そうやで！
　だって、俺としんぺい神の話聞いて、めっちゃ悲しそうな顔しとったから』

”だから、そんな顔せんとって”

ゾムから向けられた言葉で、

私は酷く安心した。

「ありがとう、ゾム」