【d!】異形愛慕 (ページ48)

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四十八話ページ48

＊

──

私の腰に抱きついているのは
緑のパーカーに顔を隠したゾムだった。

「ゾム、流石に恥ずかしいんだけど…？」

『……まだ、一週間も一緒に居てへんやん』

「それはそうなんだけど…」

エーミールから話を聞いたらしく
図書館の中で本を読んでいると
ズカズカとゾムは入ってきて

この状態になった。

『もっと一緒やと思ってた。
　そりゃあ知っとったけど…Aがいつか帰んのは』

『でも、もうずっっとダイスキなニンゲンに
　ようやっと会えてんで？離れたないに決まっとるやん…』

ぎゅう、と締められる力が強まった。

何となく頭を撫でると
その力は更に強くなる。

「…”今は”帰らなくちゃ。
　私も、考えてるんだよ、色々」

『…なぁA、出てっても、また会えるん？』

「会えるよ。絶対、絶対に。
　会えるようにするから」

『…安心、やけど
　Aは俺らのこと嫌やないん？』

ゾムが不安げに私を見つめた。

嫌、そんな訳ないのに。

「嫌な訳ないよ。
　ゾムも皆も、大事にしたいんだよ。」

「時間は掛かるけど…絶対また会いにくるし
　その時はもうずっとここに居るから」

『…………ほんまに？』

翡翠色の片目が丸くなって私を見つめた。

『ずっと？ずっと居るん？
　もう、どこにも行かんくなるん？』

期待を込めるような
嬉しそうな、そんな目。

正直、何年かかるかはわからないし
その前にここに何かが起こるかもしれないし

絶対とは言いきれない。

でも、もし…

もし彼らが、ここにずっと居るのなら

「…うん、ずっと」

私は、離れられない。

触れてしまったら、何だか離れられない気がする。
実際、離れられない。

『…死ぬまで、壊れるまで居って』

「当たり前だよ」