【d!】異形愛慕 (ページ46)

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四十六話ページ46

＊

──

トントンの部屋に戻っても、彼は居なかった。

とりあえず、一緒に来たチーノと
昨日のように腰掛けていた。

正座をしている私寄り掛かるように座るチーノ。

表情はとても暗かった。

『トントンさん…って、Aさんに
　新人のヤツ…チーノやっけ』

「あ、ショッピ」

暗い空間に入ってきたのは
何かの器具を持っていたショッピだった。

「どうかしたの？」

『あぁ、これをトントンさんに。
　でも居なさそうっすね。適当なとこ置いときます』

随分と重たそうな器具を地面に置けば
ショッピは私の隣に来て

私はショッピとチーノに挟まれる形になった。

『何かあったんですか』

「…どうしてそう思うの？」

『明らかにおかしいでしょ、チーノの様子。
　ソイツが元々そんな性格なんかとかは全く知りませんけど』

『Aさんも、表情暗いですよ』

ショッピに指摘され、そうだろうかと頬に触れた。

気分は上がらないが
顔にまで出ていたとは…

『…俺は何も聞きませんよ。
　でも、差置かれるのは嫌ですからね』

「…そんなことしないよ」

『Aさんは絶対そうだって、俺らは思ってますよ。
　…大先生とこ行ってきます』

ショッピはそのまま
抑揚のない声で部屋を出ていった。

…あぁやって、不安にさせてしまうのかもしれない。

ショッピが出て行って

チーノは私の腕にしがみついてきた。

「…チーノ？」

『……俺も、アイツも…
　みんな、怖いんや…A』

そのまま黙りこくってしまったチーノの髪を
私はヨシヨシと撫でて

下を向いた。

…私は、どうすればいいのだろう。