【d!】異形愛慕 (ページ44)

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四十四話ページ44

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「ねぇ、これっ、て…」

太陽の光に、目は数秒程度で慣れた。
振り向いてエーミールに問うた。

エーミールの肌は
光に照らされてメッキが輝いていた。

『…恐らくチーノくんの件が関わってると
　私とグルッペンさんは見ています』

エーミールの後ろから
チーノが少し出てきた。

それに続くようにグルッぺンも出てくる。

『その扉は、地上に繋がる扉だ。
　南京錠も落ちている。鍵で開けた形跡は無い。』

『そして扉は酷く損傷している。
　…つまり、何か鈍器で破壊したと見られる』

『そこでお前に聞きたい。チーノ』

『お前は、目を覚ます前のことを覚えているか？』

グルッぺンがチーノを見ると

チーノは顔を伏せた。

だがその後すぐ顔を上げると
口を開いて閉じてを繰り返し

また小さく顔を伏せて、話を始めた。

『…メモリーには、ある程度記録されていますよ』

『でもこの事を話したら
　Aさん、居なくなるんやろ…？』

チーノの声はか細かった。

不安が声にも顔にも出ていて
私は口を噤むしかなかった。

エーミールも少し顔を伏せた。

グルッぺンは

”そうやな”と、頷いた。

『…おれ、もう嫌なんですよぉ……
　こんな短い期間で、2回も、マスターに棄てられて』

『数日も経ってへんのに、またお別れとか…』

「チーノ…」

チーノは拳を作って強く握っていた。

『だがチーノ。もうこの付近でも
　警察は捜索を開始し始めているんや』

『見つかるのも時間の問題だゾ』

『捜索には、アンドロイドの協力もあるからな』

グルッぺンは、首を軽く振りながら言う。

エーミールも私と同じように口を噤んでいた。

『…一度部屋へ戻ろう。
　そこで話を聞かせてくれ』

そう言うと、グルッぺンは先に部屋へ戻って行った。

エーミールも、その後を着いて行った。

チーノは、顔を伏せたままだった。

「チーノ、行こう…？」

『……手ぇ、にぎって…』

チーノは手を差し出して
橙色の双眸をこちらに向けた。

私はその手を強く握って

二人の後を、追った。