【d!】異形愛慕 (ページ43)

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四十三話ページ43

＊

──

チーノの手を引いて
あの場所へ戻った。

「グルッぺン、連れてきたよ」

『感謝する』

連れてきたはいいものの
その場に居たはずのエーミールが居なくなっていた。

「エーミールは？」

『あぁ、エミさんなら少し奥にいる。』

『…着いてきてくれ。
　チーノにも話を聞きたい』

グルッぺンは、小さく手招きをした。

私が頷くと、チーノは手を少し強く握った。

振り向いてチーノの顔を覗くと
口を噤んでいた。

「…チーノ…？」

『…行きましょや、Aさん』

でも、すぐに顔を明るくさせた。
貼り付けたような笑顔が、不安を煽った。

「…うん」

強く握り返して
グルッぺンの後を追った。

＊

グルッぺンに着いていくと
少し開けた場所に出た。

『あ、Aさん
　チーノくん、連れて来てくれたんですね』

「うん。
　…それで、話って」

開けた場所は、私が目を覚ました場所。
故障したアンドロイドと、ゾムと出会った場所だ。

まだ少し血痕が残っていた。

話のことを聞くと
エーミールは”こちらに”と

また少し奥に進む。

エーミールの前に出て進んでみると

大きな階段がそびえ立っていた。

そこには凸凹になっている
鉄製の扉のようなものが落ちてきていた。

階段の上を覗くように見てみると
酷く目を刺激した。

───太陽の光が、差し込んできていたからだ。

「たい、よう…？」