【d!】異形愛慕 (ページ36)

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三十六話ページ36

＊

──

チーノと話をしてから
少しだけ時間が経った頃。

眠気が少し襲ってきている中
チーノは私の腕にしがみつくようにもたれていた。

このまま寝てもいいのだが…
チーノを潰してしまったらって考えたら
眠気も吹っ飛びそうだ。

『…A眠そうやな？』

「あ、ごめん、わかっちゃったか」

『賭博型でも一応、マスターの世話もしとったから
　生活サポート型の機能も少し備わってんねん』

すごい、結構多機能型なんだな…

そう思っていれば
チーノは突然起き上がって

私を床へ倒すように体を引いた。

けれど、倒れた先は床ではなく
チーノの脚だった。

『眠いんやったら、ここで寝えや』

夕日のような色が美しい橙の瞳が

私を見つめた。

「…うん、そうする。
　ありがとうチー…」

お礼を言おうとした時

『A！！！！』

部屋の中に緑のパーカーが目立つ
ゾムが名前を叫びながら入ってきた。

『ゾム喧しいねん！！』

そしてゾムの声を上回る声量の
ロボロが入ってきた。

チーノは

”バグ起こしてまう…”

と言いながら、耳を塞いでいた。

『チーノってのお前やな！？
　何Aのこと膝枕してんねん！！』

『眠そうにしてたんやから、寝かせたろって思ただけやん！』

『俺らやってしたいねん！！』

『じゃあ勝手にしたらええやん！！』

流石に私も耳を塞いだ。
いつもより声量がデカいゾムとロボロに
反論をするチーノの声量も少し大きい。

それと、普通に目が冴えてきてしまった。

トントン、マジでどこ行ってんだろう…

早くこの口論を止めてくれ
なんて思いながら

私はチーノの脚に頭を乗っけたままだった。