【d!】異形愛慕 (ページ34)

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三十四話ページ34

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橙色の夕日のような瞳が
不安そうにこちらを見つめた。

『ほう…違法カジノか』

『は、はい。
　マスターが居たんですけど…名前の欄に載ってなくて』

『もう主を解約されています…』

チーノと名乗ったアンドロイドは
悲しそうに少し下を向いた。

『チーノと言ったか。
　…まずはここの説明からしておこうか』

『ここは地下廃棄場。故障したとされるアンドロイドたちや不要になった機材などが廃棄される場所だ』

『廃棄、場……』

グルッペンの言葉をリピートすると
チーノは私の方を見てまた目を見開いた。

『じ、じゃあなんでここにヒトが居るんですか？』

「色々と、訳あって…」

チーノはよくわからないと言いたげな様子だった。

グルッペンがそうやと頷くと
チーノはまた首を傾げた。

『…つ、つまり、ここが廃棄場ってことは…
　……俺は、マスターに棄てられたってことですか』

『まぁ、そういうことになるな』

グルッペンがそう言うと
チーノは”またか”と、本当に小さな声で呟いた。

また、またって…
チーノは、二回も人に棄てられたの？

相当悲しいだろう。

でも、グルッペンは言葉を続けた。

『…まぁ、悲しいという気持ちは痛いほどわかるのだが
　とりあえず今日はお開きとしよう』

『俺もまだ調べたい箇所があるんでな
　チーノは…A、一緒に居てやってくれへんか』

「それくらいなら、全然」

『じゃあ、俺たちは退散としようか。
　トン氏、一人増えるが頼むゾ』

『それくらいはかまへん
　…俺、ちょっと他の奴らに伝えてくるから待っとって』

グルッペンと大先生が出ていくと
トントンも出ていくと言った。

でも、シャオロンが動かない。

『おい、シャオロン行くで』

『……絶対、まだ、棄てないで』

シャオロンはそれだけ言って
トントンと部屋を出ていった。

小さな部屋には、私とチーノだけが残された。