【d!】異形愛慕 (ページ32)

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三十二話ページ32

＊

『ここについてってことは
　やはり貴方はこの外へ出たいわけだな』

「…うん。
　ニュースにもなってるし、家族も心配してるから」

でも、少し思うのが…

ここのこと、彼らのことだ。

『…トン氏達が戻ってくる前に
　俺が知る限りを教えようか』

『この廃棄場に来てから、
　俺はまぁ300年程度経ってる訳なんだが…』

『ここの出入口を知ったのは
　ほんまに、3日ぐらい前のことや』

私がここへ、来た時だ。

『それまでは知ろうとはしていた。
　だが、皆が止めるからな』

『行ってもまた棄てられるだけやと。
　特に執着心の強かったシャオロンやロボロ、ゾムは随分と悲観的になっていたな』

『…まぁ、そんなことがあってから数十年近く経ったわけなんだが…Aが突然来てな。』

『帰る方法を探しているとこちらの耳にも入った。』

『数日でかなりの場所を調べ
　あの機械まみれの部屋に辿り着いたのだが…』

『あの部屋の奥の奥に、鉄製の大きな扉を発見した。
　一度押したり引いてみたり等してみたが、開くことはなかった。あちら側から鍵を掛けられているらしい』

『地上のニュース等を調べてみた限り
　この市内にある廃棄場の情報はゼロに等しかった。』

『つまり、ここのことを知っているのは国に関係するニンゲンだと推測しているのだが…』

『──…おーいグルさん
　そのアンドロイド、異常起きてへんか？』

グルッぺンの話に耳を傾けていれば
トントンが部屋の前から声を掛けてきた。

『あぁ、それなら特に無いゾ。
　…それと、盗み聞きとは趣味の悪い』

『いや、入りづらいやろ…
　…それと、もう帰る方法見つかったってことか？』

トントンだけが部屋へ入ってくると
少し、小さな声で疑問を投げかけた。

『いや、まだ帰れる訳やないな。
　無理やり破壊してもかまわんが…それこそ俺たちが反乱分子だと思われてしまう』

顎に手を当てて考える様子を見せるグルッペン。

トントンがよいしょ、と腰掛けると
部屋の前に黄色のオーバーオールと藍色のスーツが見えた。

『おら、行けやシャオカス』

『…内容が内容やんかぁ…』

大先生がシャオロンを小突くと
シャオロンは弱々しい声を発しながら部屋へ入ってきた。