【d!】異形愛慕 (ページ4)

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三話ページ4

＊

『主の名前の登録が完了しました。』

それは、毎度アンドロイドを導入した際に
主となる人間の名前を登録した時流れる音声だ。

アンドロイドは、人間に遣う存在として
数百年前から共に生きていた。

今や技術は進み、アンドロイドも働き
家事をし、友人のように会話もする。

アンドロイドを導入した時
名前の登録は、主となる人間が手動的に行う。

だが、目の前のアンドロイドと思わしきモノは
己でやったと見られる。

『A…、お前が俺の主や。
　勝手に登録はしてもうたけど…
　でも俺、久々にヒトに会えてめっちゃ嬉しいねん…！』

アンドロイドは私の手をゆっくりとり
興奮した様子で私を見て跪いた。

『あぁ、名前は…一応、ゾムって個体名貰っとるで』

「ゾム…」

『…！そうそう！！』

ゾム、そう名前を繰り返すと
彼はギザギザと作られた歯を見せながら笑った。

何だか、その笑顔はウチのアンドロイドとは違った…

自然な笑顔な気がした。

アンドロイドは基本的に
マニュアルが組み込まれていて
その通りに動いて会話を繋げていく。

だがゾムという個体はどこか、
ニンゲンっぽい気がする。

「…あの、さゾム」

『なんや？何か聞きたいこと…』

ゾムに声をかけた時

頭がクラっとして…

そういえば私、頭怪我してたっけな。