【d!】異形愛慕 (ページ29)

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二十九話ページ29

＊

『ま、もうすぎた話やし、この話やめよか！
　Aは何か用があって来たんか？』

「あ、うん。
　しんぺい神が、コネシマなら地上のことを教えてくれるって言ってたから…何か知れないかなって」

『あー地上のことなぁ…
　よし、ええぞ。何が知りたいんや』

コネシマが腕を組み直して
口を少しへの字にして訊ねる。

何が知りたい…そうだな

まずは日付、かな。

「今日の日付と今の時間を教えて欲しい」

『今日は…』

『今日は3月7日。時間は午後九時半です』

『あ、ショッピくん教えんなや俺に聞いてんのに！！』

『日付ぐらいは他のアンドロイドも見れるしいいでしょ』

日付と時間はわかるんだ。

それより、今日は7日…
私が最後に見た日付は、4日だったから

3日、経っているのか。

じゃあ、次は…

「何か、行方不明とかのニュースは出てない？」

『ん、ちょお待ってな…』

行方不明のニュース

もしかしたら私の記事が出ているかもしれない。

3日も帰ってないとなると
流石に心配になるだろうし…

『…あぁ、あったわ。』

『”大阪市内在住のAAさんが行方不明。
　Aさんの自宅の付近にある雑木林で、Aさんの通う高校の通学カバンと見られるものが落ちており、調査と解析を進めています”』

「…やっぱり、3日も帰ってないとなると
　行方不明ってなるよね」

『そら心配やろうな。
　これ以外に記事は似たようなんしか見つからんわ』

「そっか、ありがとうコネシマ」

『ん！役立てたんならよかったで』

ニシ、とコネシマは歯を見せて笑った。

それが聞けただけでもよかったと
立ち上がった時だった。

少し遠くから
私とトントンと兄さんの名前を呼ぶ声がしたのは。