【d!】異形愛慕 (ページ28)

今日:16 hit、昨日:157 hit、合計:86,029 hit

二十八話ページ28

＊

二人と別れて
一人、部屋へ繋がる穴の前に立っていた。

私一人通れるぐらい
なんてこと無いほどの大きさではあるが…

機械の山の下というのが不安を煽る。

万一崩れたら…なんて、考えたら不安は大きくなる。

…けれど、案内もしてもらったし
気になるから

「…お邪魔、します…」

恐る恐る、ゆっくりと中へ入っていった。

『…誰や？』

中へ入ると
チカチカと点滅を繰り返すオレンジライトの下で

エーミールの部屋に置いてあった気がする
短編小説を手に持っている金髪青眼のアンドロイドが居た。

そして、その隣にはショッピも。

『あ、Aさん』

『……あぁ！自分あれか！
　ショッピくんが話しとったAかいな！』

ショッピに軽く手を振ると
コネシマは思い出したように立ち上がった。

『一目見たらニンゲンやってわかるでしょ。
　機能衰えてんとちゃいます？』

『いや、結構な頻度でトントンに見てもらってるからな？
　見たことない奴居るなぁってだけやってん』

『俺さっきまでAさんの話してましたよね』

中々にトゲのある言葉で話すショッピと
笑いながら話すコネシマ。

対比がすごくて、私も少し笑ってしまった。

『おぉ…ええなぁ、うん、ええな！』

「な、何が…？」

『自分めっちゃええわ。
　なぁ、主人として登録させてや』

「い、いいよ…」

コネシマが一人でうんうんと頷いていると
最近はよく聞く音声が狭い部屋の中に響いた。

『主の名前の登録が完了しました』

『んで、改めて話すと…
　政治援助型アンドロイド』

『個体名はコネシマや』

「政治援助型…」

『議会のことをまとめたり
　国民の納得する案を提案したり』

『表にはあんまり出えへんアンドロイドや』

だからあまり名前を聞かないのか。

政治援助型は

義務教育時代に一度か二度だけ
覚えとけよとだけ言われていた名前。

『まぁ戦闘型も同じ感じではあるんやけどな？
　エンタメとか指導型より、俺らは異形扱いされんねや』

『政府につくアンドロイドやからな
　自我なん持たれたら、反逆を起こされんちゃうかって』

『あん時はビビられたわ』

過去を思い出すように
コネシマはオレンジライトを眺めながら言った。