【d!】異形愛慕 (ページ22)

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二十二話ページ22

＊

「カジノ…」

『そ。Aちゃんには縁が無いやろうけど…
　俺はそこで、金持ちとかの相手しとってん』

『俺は結構覚えてんで、自我芽生えた時のこととか』

『ほんま、ちょっと違和感感じただけやってん。
　対戦相手にどうしても勝ちたいいうて、主が裏技…まぁ悪く言っちゃあズルやな。それ仕込んでくれいうて』

『最初はそんままやっててんけど、ニンゲン騙すんは何か
　ちゃうなぁって』

『三回くらいやったわ。それでちょうど三回目ん時やな…』

『卓にすり替えとか色々仕込んでんけど、またヒトのこと騙さなアカンのかって…、少し考えとったら、相手の女が俺のこと見つめるなり”今日は帰ります”って帰ってもうたんや』

『そん時思ってん
　”騙すことにならんくてよかった”って』

『ニンゲンがダイスキやからニンゲンの指示に従って…
　でも、それに対して違和感を覚えた。』

『気付いたんはそん時やな。
　でもその後すぐ、前の主人に廃棄されてもうた』

”もう二百年近く前やけどな”

そう言って大丈夫はあぐらをかいた。

…人に従ったら、それに違和感を覚えた。
大先生はきっと、正しいんだ。

でも…

「…随分、自分勝手な」

『もう過ぎた話や。もうええんよ』

大先生はポケットから
カラカラと音が鳴っている箱を取り出した。

『これ、前の主人が吸っとった煙草。
　俺をはよ棄てたくて、焦っとったからポケットから落ちてもうたもんやわ』

『必死なって拾ってんけど
　その後すぐスリープされて気付けばここや』

煙草を一本箱から取り出した。

茶色く染まっていて、
それでも百年近く前の物なのに状態がいい。

相当大事にしていたんだろう。

『公に出てたアンドロイドは、
　俺とロボロ、コネシマとマンちゃん、ひとらんとグルッぺンだけや』

『シッマとかとは会ってへんみたいやけど
　会ったら話したり』

『充電、減ってきとるからトントンの部屋行っとくわ。』

”ほな。”

大先生は煙草をポケットに戻して
手をはらりと振って

そのまま行ってしまった。

「…ありがとうシャオロン、話聞けてよかった」

肩に重みが掛かって、それはシャオロンの頭で
”大先生ばっかやった”
と小さく言った。

お礼を言って、小さく頭を撫でてみると
心地よさそうに目を閉じた。