【d!】異形愛慕 (ページ20)

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十九話ページ20

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あれからエーミールの部屋に戻った。

戻るとまだショッピが居て
何やら画集のようなものを見ていた。

エーミールは私が読もうとしていた本を見ていたらしく
修復が出来ないか少し考えていたとのこと。

それと、無事だったかと心配された。

『出版社など、色々調べてみましたが
　全文はまだ確認できていませんので、少々お待ちを…』

「そっか、ありがとう」

エーミールは少し申し訳なさそうに
私に本を手渡した。

私はそれを受け取ると

ショッピの隣に座って頁を捲りはじめた。

『…Aさん、アンドロイドについて調べてるみたいですね』

「うん。アンドロイドというより、ここについてかな…
　出れる方法もわかってないから」

目次をざっと見てから
一頁を静かに捲る。

ショッピはそれを覗き込んでいる。

『Aさんは、ここから出たいんですか』

「…出たいんだけどね。
　家族は心配してるだろうし、学校もあるし」

「でも、よくわからないまま来たここには
　事情のあるアンドロイド達が沢山いて、私は同時に何体もののアンドロイドの主として登録してもらってる」

「責任…って言ったら、悪いかもだけど
　もし出れるってなっても、皆とはどうお別れするべきなのかな、って。会って二日経ってるかすらわかんないくらいだけど…」

『…正直、アンタと俺らは会ってまだ間もないです。
　でも、スキですよ、俺はアンタのこと』

『ゾムさんとかシャオさんは絶対…、俺もですけど
　正直、もう離れたくないとは思ってますよ』

”ようやく見つけて貰えたんで”

ショッピが儚く笑った。

その横顔が、私には到底アンドロイドとは思えない。

自我があれば、アンドロイド達はヒト同然となる。

でも、ヒトがダイスキな彼らは…

ヒトとは違う。

彼らは、

「…ヒトとは違う、ヒトへの思いがあって…
　それが肥大化していった彼らは、ヒトが向ける愛とは異なる」

「だからそれを、”異形”と呼ぼう、…か」

『…私達は、ヒトが人へ向ける愛よりずっと大きいです。
　心の構造が、ヒトを疑わない、ただひたすら愛し慕う…』

『だからずっとこうして待ち続けていられる。
　報われるまで、死んでしまうまで』

ヒトがそうなるよう造ったものを
ヒトが異形と呼ぶのは

少し、怖いものだ。

「…そういや、ショッピは何を見てるの？」

『幼女のイラスト集です』

「…ん？」