【d!】異形愛慕 (ページ16)

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十五話ページ16

＊

『お前らなぁ…あんま主困らすなや』

トントンが部屋に戻ってきたのは
口喧嘩がヒートアップしてきて数分後のことだった。

口論の内容を聞いてトントンは呆れ
シャオロンは拗ね
ロボロはむくれた様子で今修理をしてもらっている。

ゾムは故障したアンドロイドを抱え
入口の傍に置くとすぐさま私の元へ来た。

『ロボロはロボロで、何があってん』

『そこら辺歩いとったら
　機械が崩れてそんまま腕ポーンや』

「災難…」

作業が始まって
体内時計で30分ほど。

ロボロの腕はみるみる内に
綺麗に戻っていく。

機械整備特化型の整備は
テレビ以外で初めて見たが…

あんなに手早く修理を進めていくのは、凄いと思った。

『…ん、終わりや。次から気ィつけや』

『ありがとぉなトントン。
　もうちょいここおりたいけど…行かな。またなA』

「…またね」

ロボロは腕が直ってすぐ
部屋を後にした。

ロボロが居なくなってから
シャオロンが私の傍へ寄ってきた。

「どうかした？」

『ちょっとだけ、これがええ』

シャオロンは私の手を自分の頭に乗せる。

一瞬首を傾げたが、
あぁなるほどと私は手を動かした。

『…俺、ヒトに魅せるアンドロイドやねん。
　アイドルとか、歌手とか…そういうエンタメ特化型やねん』

『やから、褒められたい…主のAには、もっと』

シャオロンが細々しい声で言う。
私は一瞬手を止めたが、
またすぐにシャオロンの髪を梳くように撫でた。

『ん…ふふ』

エンタメ特化型は
アイドルなどとして活動するアンドロイドだ。

褒められては学び、成長する。

その姿には熱血なファンが生まれる。

伸びていくアンドロイドは、
その後業界にずっと残り続けている。

表舞台に立っているアンドロイドは
ほとんどが業績を残し
”故障”という形、もしくは人に飽きられ

引退していく。

シャオロンは人の目にすら入ったことがないのだろう。

だから、会って間もない私にこんなにも
執着を見せるような行動をとっているのだろうか。

『…すき……』

私はここを出れるようになった時、
彼らとどういった別れを告げればいいのだろうか。