【d!】異形愛慕 (ページ11)

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十話ページ11

＊

廃棄場に来てから
時間がどれだけ経ったかはわからない。

だが、やることも特になかったため…

一度エーミールと別れ
ゾムと廃棄場を歩いてみることにした。

『なぁA、今って何年代なん？』

「3000年代に入って、結構すぐだよ」

『え、今2000年代やないんや』

「ゾムが生まれた時はいつなの？」

『俺の製造時は…
　2900年ぐらいやなぁ。その頃からアンドロイドのカラダは更に強なって、不具合とかが起きん限り100年以上は使えることが多くなったな』

「100歳近くなんだ…」

『…おじいちゃんとかじゃないで？』

辺りの景色がほとんど変わらない
そんな廃棄場を歩いていれば

近くから少し大きな音が聞こえてきた。

「な、なんの音…？」

『…多分、”シャオロン”やで。
　A、ちゃうとこ行こ』

ゾムは少し口を尖らせて私の手を握った。

シャオロンというのは
自我を持つアンドロイドの一人だろう。

爆発音みたいな大きな音が聞こえたが…

「その”シャオロン”ってひとは大丈夫なの？」

『まぁ大丈夫や。いつものことやし』

「…普通に心配だよ」

『…多分、Aにシャオロン会わせたらアカン』

「どうして？」

そんなに危険なアンドロイドなのだろうか？
ゾムは危険を加味して言ってくれているのだろうが…

その理由が気になる。

『……アイツは、執着心が強すぎる』

「執着心…」

人間に対しての執着心が強いのだろうか。

アンドロイドは人間を好くように設計されているから…

自我が芽生えて、廃棄場に棄てられたのなら
人間に対して執着心が芽生えるのは仕方の無いことだろう。

『やから、会わせたないねん。
　…俺もA好きやねん、会ってちょっとしか経ってへんけど、もう大好きやねんて』

手を握る力が少し強くなった。

そうか、彼らはずっとここで人間を待っているのか。

「…そっか」

『な、ニンゲンってギューってしたりするやん？
　あれ、してもええ？』

ゾムは両腕を伸ばした。

少し恥ずかしさというものはあるが…

「…いいよ」

『…！A、好きや…！！』

ゾムの体重が掛かって腕が背中に回る。

アンドロイド特有の体温が体に伝う。

甘えたっぽい。

『…おい、ゾム。
　ソイツ、ニンゲンか？』

ゾムがパッと離れた瞬間
知らない声がした。