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「じゃあ、また何かあったら連絡して。俺達も出来る限りAさんを支えるから」
「ありがとうございます、ユンギさん」
「ん、戸締まりしっかりな」
ユンギさんに家まで送ってもらうと、一応連絡用にとユンギさんとカトクを交換した。
上がっていくか聞くとユンギさんはこの後事務所に行く用事があるらしいから帰るとの事。
最後までお兄ちゃんみたいに私に笑いかけながらユンギさんは事務所へ向かった。
家は、駅近くのアパートで。
といっても結構綺麗なワンルーム、何度かジミナやテヒョナを呼んだこともある。
私の家ってこんなだったっけ、なんて久々の我が家に変な気分になっていると
明らかに、ベッド脇に飾ってあった写真立てが無くなっていることに気づいた。
なぜ無くなっているのかも、なぜそれが無いことに気づいたのかも、
正直分からないのだけれど、確実に無いことだけは分かった。
何かが物足りない、この部屋。
「写真立て、捨てたんだっけかなぁ...」
写真立てに何の写真入れてたっけ、とかどんな写真立てだったっけ、とか
微妙に曖昧な記憶が遡行を阻んでくるから、まぁいいか、そんな気分でコンビニで買ったサンドイッチを食べることにした。
ユンギさんが片手でも食べられるようにとサンドイッチをカゴにバンバン入れててこの人も豪快だなぁ、なんてさっきの事を思い出す。
「そうだ、お花...」
思い出したように机に置かれた花束に視線を落とす。
花瓶あったかな…戸棚の中を確認しながら、ふとさっきのユンギさんを思い出した。
ユンギさんの話は、正直よく分からなかった。
ドイツの昔話をどうして突然したのか、一体何を思って私にあの話を伝えたのか。
ユンギさんのいう、俺の周りにもっていうのはきっと私とジミナの事だろう。
面倒くさいことになってるって言ってたのは、ジミナの記憶喪失のことだろうか。
いつも何考えてるか分からない人だったけど、今回は本当に、意味が分からなかった。
見つけた小さな花瓶に水を入れると、小さな青い花たちをそこに差し込んだ。
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ヒスイ(プロフ) - イヴさん» コメントありがとうございます!最後まで宜しくお願いします! (2018年8月4日 8時) (レス) id: c06cea6d4c (このIDを非表示/違反報告)
イヴ - いいはなしやー、、、 更新ファイトでし! (2018年8月3日 19時) (レス) id: c632785a56 (このIDを非表示/違反報告)
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