【僕のヒーローアカデミア】命懸け少年 Part4 (ページ16)

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未知の世界は怖いページ16

貴｢…｣

爆音がした。散る屑に叩かれ、意識を戻す。

玄｢あ、お嬢起きやしたね。｣

声を聞くに玄野さんしかいない。現状が掴めない。ここは何処だ。僕を抱いていた人は何処にいる。

不本意だが、不安になった。あの心臓の音がいつから聞こえなくなっていたかなど眠りに堕ちていた自分にはわからなかった。

僕の身体は地べたに転がされていた。酷い頭痛を無視して上体を起こす。歪む世界の中で見る、そこに居たのは会いたくも、会いたくなくもあった人。

相｢…っ、廻輪…｣

貴｢…！｣

玄野さんに組み敷かれているのは消太さんだった。満身創痍の体で少しでも動くのは辛いだろうに、此方に手を伸ばしている。返そうとして、迷った。僕にはこの人に触れる権利なんて無いから。

玄｢感動の再会ってやつですかね？イレイザーヘッド…俺がお嬢を抱えてるのを見つけてすっ飛んで来やしたんですよ…こんな、ぼろぼろの体で。｣

相｢ぐっ！｣

今も尚伸ばし続ける消太さんの手が潰される。僕らの距離だいたい1m。届かないのは知っている。何故なら動く気が無いから。

でも、そこに消太さんがいる。

玄｢お嬢…おいで。｣

貴｢！｣

仮面の下の表情はいつでもわからない。その言葉にどんな意味が含まれるかわからない。でも、僕は素直に身体を動かした。

重い身体。着物のせいか、枷のせいか、それともこの気持ちのせいか。這って目の前まで行くと玄野さんに触れられる。頬を撫で、首筋を伝い、腕の繕いに爪を立てた。一抹のいやらしさを含む手つきに自然と身が強ばった。

貴｢ん…｣

相｢！ふれ、るな…｣

絞り出すかのような声。玄野さんをこれでもかと言うほど鋭く睨みつけている。

…ああ、消太さんはあんな最低な裏切り方をした僕を自身のその手で断罪する為に来たのだ。

だって、そうじゃなかったら、そうじゃなかったら。

玄｢はは、そんな事言える立場だと思ってるのか｣

相｢っぐぅ、ぁあ"！｣

傷を拳銃の先で抉る。ぷしゅっと噴出された消太さんの血がかかった手を少し見つめた後、鼻で笑った。

無情にも眺めているだけだった僕は恐怖した。意地の悪い笑みで見られている。廻様とは別の得体の知れない恐ろしさはこの人にはある。それが今、初めて直でぶつけられている。

玄｢ねぇほら見てくださいよイレイザー…俺のつくった(･･････)廻輪を…｣

髪の毛を引っ張り強引に消太さんの顔を持ち上げる。

視線が交差する。

ずっと変わらない、強い、光の目と。